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FIFA、ロシアに“大甘”制裁 弱腰姿勢に欧州各国が反発

[ 2022年3月1日 05:30 ]

FIFAのジャンニ・インファンティノ会長(ロイター)

 国際サッカー連盟(FIFA)は27日、ウクライナに侵攻したロシアに対し、国内での国際試合の開催を禁止すると発表した。ホーム戦は中立地での無観客試合で開催し、国名、国旗、国歌の使用も禁じたが、欧州各国が激しく反発。24日のW杯欧州予選プレーオフでロシアと対戦するポーランドは不満を示し、W杯予選からの除外を求めた。

 ロシアに対するFIFAの弱腰な姿勢に、非難の声が噴出した。スウェーデン、チェコとともにW杯欧州予選プレーオフでのロシアとの対戦を拒否しているポーランド協会は、ロシアの予選からの除外を強く要求。クレシャ会長はツイッターで「FIFAの決定は全く受け入れられない。チーム名が変わってもロシアとは対戦しない」と改めて試合のボイコットを表明した。

 FIFAは「ロシアのウクライナへの武力行使を改めて非難する」との声明を出し、ロシア国内での国際試合の開催を禁止。国名、国旗、国歌の使用を認めず、ロシア・サッカー連合(RFU)の代表として試合するなどの措置を発表した。今後も国際オリンピック委員会(IOC)や欧州サッカー連盟(UEFA)などと協議し、状況が改善されない場合は大会除外などさらなる制裁措置を検討するとした。

 だが、欧州各国はより厳しい対応を求めている。W杯欧州予選プレーオフでチェコに勝った場合、ロシアとW杯切符を争う可能性があるスウェーデン協会のニルソン会長は、「もっと鋭いスタンスを期待していた」と失望。チェコ協会も試合を拒否する方針を変えないとした。

 AP通信によると、FIFAの規定ではポーランド、スウェーデン、チェコがロシアとの対戦を拒否した場合、処分対象となり、罰金などが科される。だが、ボイコットを支持するポーランド代表GKシュチェンスニ(ユベントス)が「FIFAがロシアを不戦勝にできるか、見てみよう」と呼び掛けたように、3カ国の協会、選手の姿勢は揺るがない。

 イングランド協会(FA)も「ロシアの指導者による残虐行為を非難する」との声明を出し、当面は全てのカテゴリーでロシアとの国際試合を行わないと発表した。

 1990年代にはボスニア・ヘルツェゴビナを巡る紛争で国連制裁決議を受けたユーゴスラビアがW杯予選や欧州選手権から除外された例がある。サッカー界の“ロシア排除”の動きは、さらに広がっている。

 ▽W杯カタール大会欧州予選プレーオフ 欧州の出場枠は13。予選は55カ国が10組に分かれて昨年11月まで行われ、各組1位の10カ国が出場権を獲得。各組2位と欧州ネーションズリーグ成績上位の計12カ国が3組に分かれて3月下旬にトーナメント形式で戦い、勝ち抜いた3カ国が出場権を得る。

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