“B大会”開催案も飛び出したW杯隔年開催案の行方

[ 2021年10月24日 08:00 ]

FIFAインファンティノ会長
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 FIFA(国際サッカー連盟)が前のめりに検討しているW杯の隔年開催案。加盟211協会で過去に出場経験があるのは78協会・地域に限られ、多くのチームにチャンスを与えるという大義名分はもっともらしい部分もある。とはいえ、開催間隔を短縮して大会数を増やしたからといって、予選で成績上位のチームに出場を限るのであれば顔ぶれが大きく変わるとも思えない。欧州と南米の主要大陸連盟や加盟国に加え、クラブや選手、監督など現場から反対の声が多く上がっている。日程やスポンサー確保などで主要な国際競技大会と競合する可能性もあって国際オリンピック委員会(IOC)も懸念を表明。その中でポルトガル・サッカー連盟のティアゴ・クラベイロ最高経営責任者(CEO)による発言が目を引いた。

 19日に行われた欧州サッカー連盟(UEFA)の会議でFIFAのインファンティノ会長に対して各加盟協会から反対の声が噴出した中、クラベイロ氏はW杯の“B大会”開催を提案したという。従来の“A大会”出場を逃した国だけで2年後に開催し、交互に行えば2年ごとのW杯隔年開催になる。欧州チャンピオンズリーグ出場を逃したチームによる欧州リーグをイメージすればいいのだろうか。

 “A大会”ほどの注目度はないだろうから、IOCや他の国際競技団体が懸念するほどの放映権料やスポンサー料への影響はないのではないか。厳密に言えば現行の「W杯」とはほど遠く、FIFAが目指しているのであろう収益アップには大してつながらないように思えるが、各大陸で出場権に一歩届かなかった国同士による真剣勝負は、ちょっと興味深い。優勝国を次回“A大会”に昇格させ、準優勝や3位にもプレーオフ出場権を与えるなど工夫すれば盛り上がるのではないかと思う。

 どこまで具体的な提案なのか不明ながら、インファンティノ会長は「アイデアは歓迎する。技術部門が精査し、検討しなければ」と回答。FIFAが求める収益力が高い隔年開催案とは異なる上に、結局は大陸選手権などとの調整も必要なため実現性が高いとも思えないが、競技力の底上げや振興という意味では意義があるはずだ。

 FIFAは12月20日に隔年開催案を話し合うグローバル・サミットの開催を決定。UEFA内で隔年開催が強行された場合のFIFA脱退を検討している協会が12を超えるという報道もある中、インファンティノ会長はコンセンサス重視の方針を示し、加盟協会の分断を招きかねない採決を行うか言及しなかった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で財政的な打撃を受けているのはクラブだけではなく、各国の協会も同様だろう。欧州有力クラブによるスーパーリーグ構想を含め、現状打破への動きはあってしかるべき。収益アップと改革の意義を両立させ、サポーターから理解を得ることも必要だが、何よりも過密日程や負担増加の影響を直接受ける選手ら現場の協力は欠かせない。インファンティノ会長は20日のFIFA理事会後に「会長としての役割は提案に耳を傾けて対話を進めること。決めるのは私ではなく、あなた方だ。異なる提案にドアは開かれている」と語ったという。

 加盟国が多い割にW杯出場枠が少ないアジア、アフリカ、北中米カリブ海の各大陸連盟を取り込めるのであれば、強行採決に持ち込んだ方が隔年開催実現は容易だが、UEFAのチェフェリン会長は「ひどい結果を引き起こすだろう」と警告している。“B大会”を含め、建設的な話し合いに期待したい。(記者コラム・東 信人)

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