×

【ピッチ外のスペシャリスト】喜熨斗勝史氏 W杯で日本との対戦夢見て欧州で大和魂注入

[ 2021年3月17日 05:30 ]

喜熨斗勝史氏
Photo By 提供写真

 W杯出場経験を持つ欧州の国で、初の日本人指導者となった。3月3日、“ピクシー(妖精)”の愛称で親しまれたドラガン・ストイコビッチ氏のセルビア代表監督就任に合わせて、喜熨斗勝史氏(56)がフィットネスコーチに就任。22年W杯カタール大会出場を目指すことになった。

 「ピクシーからは“当然、こっちに来るんだろう?”という雰囲気を出されていた(笑い)。自分の中では大きなチャレンジで、今からドキドキしています」

 学生時代にサッカーはしていたものの、プロのキャリアはない。だが日体大卒業後に教員を経て、東京大学大学院に入学するなど勤勉家だ。その飽くなき探究心は元日本代表FW三浦知良(横浜FC)も認めるところで、04年からはカズとパーソナルトレーナー契約を結んでいる。

 ピクシーとの出会いは08年。名古屋のフィジカルコーチに就任した時だった。英語とポルトガル語を駆使した高いコミュニケーション能力とモチベーションコントロールで支え、10年にはクラブ初のリーグ優勝にも貢献した。ピクシーが広州富力(中国)の指揮官に就任した15年夏には、ヘッドコーチ格として入閣。計11年半もの間、替えがきかない“右腕”としてピクシー政権を支えてきた。

 セルビアへの出国前。カズ、そして元日本代表MFの北沢豪氏(現・日本サッカー協会理事)からは「こんな凄いことはないぞ」と祝福とともに激励を受けたという。「スタッフに日本人は1人。何もかも初めての経験になるし、自分に何ができるか分からない。でも、日本人の魂は見せたいと思っています」とパイオニアとして、身を粉にする覚悟はできている。

 24日のW杯欧州予選の初戦アイルランド戦を皮切りに、3月はポルトガル(27日)、アゼルバイジャン(30日)との3連戦が控えている。初陣まで時間がないが、目指すはセルビア代表の2大会連続W杯出場。そしてW杯の舞台で、日本代表と対戦することが夢だ。(飯間 健)

 ◆喜熨斗 勝史(きのし・かつひと)1964年(昭39)10月6日生まれ、東京都練馬区出身の56歳。東大大学院修了後の95年6月、平塚(現・湘南)のユースフィジカルコーチで指導キャリアスタート。C大阪、浦和などのフィジカルコーチを経て、08年から15年夏まで名古屋でコーチなど歴任。愛犬は2頭のシェットランド・シープドック。1メートル76、70キロ。

続きを表示

2021年3月17日のニュース