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広島・大迫 “天国と地獄”「両方を味わえたのはプラス」 東京五輪へどん底からの逆襲誓う

[ 2021年2月25日 05:30 ]

今季の飛躍を狙う広島GK大迫(C)2021 S.FC
Photo By 提供写真

 26日のJリーグ開幕前に、今季に懸ける選手を紹介する連載「リスタート」の最終回は、広島GK大迫敬介(21)。19年に19歳でA代表デビューを飾ったが、昨季のリーグ戦出場は15試合にとどまった。雌伏の時を経て、東京五輪を控える今季の逆襲を誓った。

 振り返れば必要な時間だった。19年にJ1デビューを果たすと定位置を確保し、29試合に出場。同年6月にはA代表デビューも飾った。だが20年はベンチを温めることが増え、終わってみれば15試合の出場。大迫は2年間で天国と地獄の両方を味わった。

 「19年はうまくいきすぎた。本当ならば、あれをベースにして出場し続けることが大事になるのでしょうけど、昨年のような時期は必要だと思う。両方を味わえたのは、今後のサッカー人生においてはプラスと捉えている」

 昨年7月8日の大分戦で2失点に絡み、その後はベンチ要員。一度はレギュラーを奪い返したが、同9月13日の川崎F戦で5失点を喫すると、再びベンチ行きとなった。「結果を求めてミスを恐れたことが良くなかった。そこが一番の要因。ベンチは当然の結果だった」と分析する。

 笑顔が印象的な守護神も、一時はネガティブな方向に向かった。しかも昨年は谷晃生(湘南)、沖悠哉(鹿島)ら東京五輪世代のJ1出場の機会が増加。焦る要素は多かったが、短所ではなく、長所に目を向けるよう考えを変更した。「出場できない要因を探して改善することではなく、自分の武器を伸ばし続けることで自信を回復させるようにしよう」。長所は何か――。自問自答した結果、積極的な飛び出しやシュートストップ、そしてキック精度を高めることを選択した。

 現代サッカーにおいて、GKは守備だけではなく攻撃の起点になることも求められる。「精度や味方の動きに合わせてどういうボールを蹴るかの選択。対戦相手の状況によっても変わってくる。スペースなのか、足元を狙うのか。それを両足で蹴れるようにした」。全体練習が終わった後も武器を磨き続けた。

 「シーズンを通して試合に出たい思いは昨年以上に強い。その延長戦に代表戦がある。やっぱり東京五輪は目標にしている大会。何としても出場したいし、競争を勝ち抜いてピッチに立ちたいです。そのためにも、まずはシーズンを通して試合に出場して自分の価値を高めていきたい」

 走り続けていれば見えない“景色”も、一度立ち止まることで見えることがある。鍛えられたのはメンタル、そして「GK大迫敬介」の確立。次世代の日本代表守護神は、反攻の時を待っている。 =終わり=

 ◆大迫 敬介(おおさこ・けいすけ)1999年(平11)7月28日生まれ、鹿児島県出水市出身の21歳。中学時代まで鹿児島県で過ごし、15年に広島ユース入団。18年にトップ昇格。19年2月のACL・プレーオフのチェンライ戦で公式戦デビューした。同年6月の南米選手権チリ戦でA代表デビュー。J1通算44試合出場。国際Aマッチ2試合出場。1メートル87、86キロ。利き足は右。

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