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帝京長岡を支える下部組織 環境整備にも注力、強豪校の地位は確固たるものに

[ 2021年2月15日 13:30 ]

古沢徹監督の話に耳を傾ける帝京長岡イレブン
Photo By スポニチ

 【福永稔彦のアンプレアブル】山梨学院(山梨)の優勝で幕を閉じた第99回全国高校サッカー選手権大会では、青森山田(青森)が3大会連続、矢板中央(栃木)、帝京長岡(新潟)が2大会連続4強入りの快挙を成し遂げた。

 3校には共通点がある。青森山田には青森山田中サッカー部、矢板中央と帝京長岡にはそれぞれ矢板SC、長岡JYFCという中学年代のクラブチームがあり、下部組織として機能しているのだ。

 長岡JYFCが発足したのは2001年。帝京長岡の谷口哲朗監督(当時、現総監督)らが発起人となり長岡市の中学生年代のレベルアップのために立ち上げた。現在はU―15、U―12、U―6の3つのカテゴリーがあり、個性を生かし、長所を伸ばす指導を行っている。

 長岡JYFCで代表を務める帝京長岡コーチの西田勝彦氏によると、幼少期はボールを蹴る楽しさを教える。小学生になると「点を取ること、点を取られないこと、ボールを奪うことの3つがサッカーで最も大事。点を取るために相手の裏を取る。失点しないために裏を取られない」というコンセプトを植え付ける。帝京長岡のスタイルを幼い頃から学んでいるわけだ。

 長岡JYFCは、フットサルにも取り組んでおり全国大会優勝の実績もある。フットサルは、サッカーよりも小さなボールを硬い床の上で扱うため細かなボールタッチが身につく。攻守の入れ替わりが激しいため判断のスピードも速くなる。

 帝京長岡では、そうした環境で育った選手たちを軸にチームをつくる。昨年度の全国高校選手権で主力だったFW晴山岬(現J2町田)やMF谷内田哲平(現J2京都)は小学校入学前から長岡JYFCに所属し、中学校時代から高校生に交じって公式戦に出場していた。

 そこに県外出身者が加わり、うまくて強いチームが出来上がる。高校から長岡にやって来る選手は、事前に練習に参加し、パスサッカーに魅了されて進学を決断する。

 今年度の全国高校選手権で活躍したMF川上航立(3年)は、小学生時代にC大阪ジュニアで全国大会優勝を経験し、中学時代にはG大阪門真ジュニアユースでプレーした。他の強豪校からも誘われたが、「やりたいサッカーだったし、レベルが高く、本気で日本一を目指していると感じた」と帝京長岡を選んだ。

 近年の全国大会での好成績により、進学を希望する選手は増えている。受け入れる帝京長岡では今春、接骨院を備えた寮を学校の隣に新設し、主要大会にはトレーナーを帯同するなど環境整備にも注力しており、強豪校の地位は確固たるものになっていくはずだ。(スポーツ部専門委員)

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2021年2月15日のニュース