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メッシ退団希望、法廷闘争に発展も…移籍違約金882億円?食い違う主張

[ 2020年8月27日 05:30 ]

15日、欧州CL準々決勝でBミュンヘンに大敗し落胆するメッシ(AP)
Photo By AP

 サッカー界に衝撃が走った。スペイン1部の名門バルセロナで一筋にプレーし、主将を務めるアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(33)が25日、今夏に移籍金なしで退団する意思を正式に文書でクラブへ通達した。クラブ側は、メッシとの契約は21年6月末まで残っており、移籍には7億ユーロ(約882億円)の違約金が発生すると主張。法廷闘争に発展する可能性が出てきた。移籍先の最有力候補にはマンチェスター・シティー(イングランド)が浮上している。

 無冠に終わり、バロンドール(世界最優秀選手)を受賞した絶頂期のフィーゴがチームを去った2000年、メッシは13歳で下部組織に入った。以来、バルセロナ一筋にプレーし続け、20年。数え切れないほど栄冠を勝ち取ったユニホームを、脱ぐ決断を下した。

 25日に内容証明付きのファクスをクラブへ送付。一方的に退団する意思を通達した。夜が明けたスペインは蜂の巣をつついたような騒ぎだった。26日付のマルカ紙は1面で「俺はバルセロナを離れたい」、「ファクスでサヨナラ」(アス紙)と紙切れでの“三くだり半”という衝撃を報道。スポルト紙は「全面戦争」と見出しを打った。

 契約条項を巡り両者は対立。メッシ側はシーズン終了後に希望すれば移籍金なしで移籍できる条項を盾に移籍を要求したが、クラブは条項行使の締め切りは6月10日のため既に失効していると主張し、平行線だ。今季はコロナ禍でシーズン終了が通常の5月末から8月にずれ込んでおり、司法の判断を仰ぐ可能性が出てきた。

 史上最多6度のバロンドールのメッシは、バルセロナの黄金期を築いた。04年に17歳でトップチームに昇格。通算16シーズン公式戦731試合に出場し、クラブ歴代最多の634ゴール。10度のリーグ優勝、4度の欧州チャンピオンズリーグ(CL)制覇などこちらもクラブ最多の34タイトルをもたらした。

 だが、1月にメッシと良好な関係だったバルベルデ監督が解任され、3月にコロナ禍で減俸を受け入れた際に「クラブから重圧を受けた」と反発した。スポルト紙はバルトメウ会長ら首脳に対する不信感のほか、15年を最後に欧州CL優勝から遠ざかるなどチーム弱体化も退団を決断した理由に挙げている。

 欧州CL準々決勝はBミュンヘン(ドイツ)に2―8と歴史的大敗。12季ぶりの「無冠」に終わった。うなだれてピッチを後にする姿が、バルセロナのユニホームを着た最後の姿になるのか。メッシ初の移籍騒動に世界中の視線が注がれる。

 ▽FCバルセロナ 1899年創設。ホームタウンはカタルーニャ州バルセロナ。国内リーグ優勝26回、スペイン国王杯優勝30回(最多)、欧州CL優勝5回。14万人を超えるソシオ(個人会員)が約3万円の年会費を払ってクラブを支えており資金は潤沢。18~19年度の総収入は9億9000万ユーロ(約1274億円)。Bチーム(3部)に元鹿島のMF安部裕葵(21)が所属。本拠地はカンプ・ノウ(9万9354人収容)。

 【メッシの主な記録】
 ☆史上最多 バロンドール(世界最優秀選手)に6度輝き、欧州ゴールデンシュー(得点王)も6度獲得。カレンダーイヤー(1~12月)で12年には公式戦91ゴール。
 ☆国内リーグ最多 通算444得点を挙げ、11~12年は8度のハットトリックを含む計50得点。最近4季連続など7度の得点王。12~13年に21試合連続得点。ハットトリックは通算36度。通算184アシスト、513勝。
 ☆クラブ最多 計34度の優勝に貢献。公式戦通算634ゴールを挙げ、11~12年には公式戦73得点をマーク。公式戦のハットトリックは通算48回、直接FKから47ゴール。

 ◆リオネル・メッシ 1987年6月24日生まれ、アルゼンチン・サンタフェ州ロサリオ出身の33歳。13歳で地元クラブのニューウェルズからバルセロナ下部組織に加入。アルゼンチン代表で国際Aマッチ138試合で同代表最多70得点。1メートル70、72キロ。利き足は左。

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