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FC東京・奥原崇育成部長 世界に羽ばたく選手を育て上げるために コロナ禍でもケア怠らず

[ 2020年5月19日 12:30 ]

再開を待つJな人々

C東京・奥原崇育成部長(FC東京提供)
Photo By 提供写真

 Jリーグのレベルの底上げにおいて、育成力の向上は避けて通れない道だ。FC東京も例に漏れずアカデミーに力を注いでおり、数多くのプロ選手を輩出してきた。そんな“名門”で奥原崇氏(47)は普及部コーチ、下部組織のコーチ、同監督を経て17年に育成部長に就任。トップチームで活躍できる、そして世界に羽ばたいていける選手を育て上げるための組織づくりなどに心血を注いできた。

 「各カテゴリーごとの年間の指導計画の策定、進路先の選定、しっかりとした体を作るためのコックとの連係などを行っています。また、スタッフを束ねて考え方を統一するのも大事な仕事。選手に直接は指導しなくとも、スタッフを躍動させて選手の成長を促すのが自分の役割です」

 ただ、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響でクラブが活動を休止。3月下旬にアカデミーは学年別で練習を実施するなど万全の体制を整えて再始動したが、すぐに取りやめた。状況は現在も大きな変化がない。外出自粛を求められる緊急事態だからこそ、奥原は選手だけでなく保護者との関係性こそが重要だと話す。

 「今の時期はみんながストレスを抱えていると思います。文書1枚で済ますのではなく、ちゃんと担当コーチから電話連絡を入れて生の声を拾い上げるようにしていますし、例えば個別のトレーニングメニューを選手に与えた際にも、選手だけではなくてご家族に理解してもらえることを大きなポイントとして考えています」

 もちろん選手のケアを怠ることはない。150人を超える選手全員とスタッフたちが連絡を取り合い、不安や悩みのはけ口となっている。コロナ禍で大変な時期にどう寄り添い、ともに進むか。活動ができない現状でも、選手をどうやって伸ばしていくのか。「今だからこそ真価を問われると思っています。質の部分でどれだけ差をつけられるか。FC東京の組織、指導者の底力を見てもらいたい」。年間の育成計画は大きく狂い、先行きは不透明。それでも心は折れない。奥原は来たるべき日のために様々なところにアンテナを張って情報を集め、より良い未来のために日々の仕事に邁進している。

 ◆奥原 崇(おくはら・たかし) 1972年(昭47)7月31日生まれ、東京都出身の47歳。中央大から東京ガスサッカー部に加入。その後、FC東京の初代の背番号10をつけ、高いテクニックと攻撃センスでファンを魅了した。03年から指導者の道に進み、FC東京の普及部コーチを経て、08年からトップチームコーチに就任。17年からは育成部長として辣腕を振るっている。

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2020年5月19日のニュース