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第1節から大番狂わせ!J1復帰の大分、昨季アジア王者・鹿島を食った!

[ 2019年2月24日 05:30 ]

明治安田生命J1リーグ 第1節最終日   大分2―1鹿島 ( 2019年2月23日    カシマ )

前半18分、先制ゴールを決めイレブンと喜ぶ大分・藤本(左から4人目)(撮影・大塚 徹) 
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 明治安田生命J1リーグ第1節最終日が行われ、6年ぶりにJ1に返り咲いた大分が、敵地の開幕戦で昨季のアジア王者、鹿島を2―1で撃破した。FW藤本憲明(29)が2ゴールの大活躍。JFL、J3、J2全てで開幕ゴールを決めてきた開幕男が史上初の“4階級制覇”を果たした。15年にはJ3降格という憂き目にあった大分の番狂わせで、今季のJ1第1節は幕を開けた。

 3年前はJ3に沈んでいた大分が、敵地で昨季アジア王者を粉砕した。昨季のJ2でトップの76点をマークした攻撃力を6年ぶりのJ1でも披露。チームを率いて4季目。監督として初めて挑むJ1で開幕戦勝利をつかんだ片野坂監督は「堅守の鹿島相手に得点できたのは自信になる」と大きくうなずいた。

 大金星の立役者は29歳の藤本だ。これまでJFL、J3、J2と全て開幕ゴールを決めてきた「開幕男」が、初めて挑むJ1の舞台でも本領を発揮。前半18分にFW伊藤、小塚とのコンビネーションからのパスを左足でゴール。同点に追いつかれて迎えた後半24分には、カウンターから右サイドを抜け出したFWオナイウからのパスをゴール左に叩き込んだ。

 大阪・富田林出身。典型的な「関西人」で物おじしない底抜けの明るさを見せるが、実は苦労人だ。G大阪の下部組織でサッカーを始め、高校は青森山田に進学したが、年代別代表などとは無縁だった。近大に進み、卒業後はJFLの佐川印刷でサッカーを続けた。4年間在籍し、午前中はサッカー、午後は仕事の日々。完成した雑誌などの梱包(こんぽう)、包装をしていたという。だが「Jリーガーになる夢は諦めなかった」と明るく話し「JFLでの4年間が今日のゴールにつながったと思う」と胸を張った。

 大分の今季の補強はオナイウら昨季J2の選手が中心。実績のある選手は少ないが、それでもJ1で戦えることを、この日の勝利で証明した。藤本は言う。「今、JFLやJ3でやってるプレーヤーの目標になりたい」。ゴールという結果を武器にはい上がってきた「29歳のJ1ルーキー」を筆頭とする個性派軍団。一時は地獄を味わった大分が、6年ぶりに復帰したJ1で旋風を巻き起こす。

 ◆藤本 憲明(ふじもと・のりあき)1989年(平元)8月19日生まれ、大阪府富田林市出身の29歳。9歳でG大阪の下部組織でサッカーを始め、青森山田高―近大。12年にJFLの佐川印刷へ。15年にチームが解散したため、16年にJ3鹿児島へ移籍し2年連続得点王に。18年から大分。昨季はチーム最多の12得点。1メートル75、69キロ。利き足は右。

 《大分 チームデータ》 J1デビュー戦のFW藤本が2ゴール。J1初戦の開幕戦で2得点以上は09年長谷川悠(山形)以来2人目(外国人を除く)。藤本は17年にJ3、18年にJ2で開幕戦ゴールを決めており、今回で3年連続の開幕弾。3つのJカテゴリーでの開幕弾は史上初の快挙。ちなみに14年にはJFLでも開幕戦ゴールを決めている“開幕弾男”だ。

 大分のJ1シーズン開幕戦は過去1勝1分け6敗。アウェー鹿島戦は通算1勝1分け6敗。“2つの大きな壁”を乗り越え、6年ぶりのJ1で最高のスタートを切った。



【大分の足跡】

 ▼99年 発足したJ2に参戦。3位。

 ▼02年 J2優勝を果たし初昇格。

 ▼05年 中盤まで最下位争いをするも、シーズン途中にシャムスカ監督就任以降は7勝3分け2敗で11位に。「シャムスカマジック」と言われた。

 ▼06年 J1で8位に。森重真人が加入。日本代表に西川周作、梅崎司、高松大樹が招集。

 ▼07年 J1で14位。金崎夢生が加入。

 ▼08年 J1で4位。清武弘嗣がユースから昇格。ナビスコ杯優勝(クラブ初タイトル)。

 ▼09年 J1で17位。前半の14連敗が響いてJ2へ降格。チームの経営不振(累積赤字は約11億円)が表面化し、西川、森重、清武、金崎らを放出。

 ▼10年 J2で15位。累積赤字は約12億円に。

 ▼12年 J2で6位。J1昇格POを制して4年ぶりのJ1昇格。

 ▼13年 J1で18位。シーズンわずか2勝でJ2降格。

 ▼15年 J2で21位。シーズン序盤から最下位に転落。町田との入れ替え戦に敗れ、J3降格。

 ▼16年 J3優勝。1年でJ2復帰を果たす。

 ▼18年 J2で2位。J3経験チームでは初のJ1昇格となった。

 ▼19年 開幕戦で鹿島に勝利して好スタートを切る。

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