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外国人選手が活躍するために…柏通訳が意識する「リロケーションコンサルタント」

[ 2018年12月1日 09:15 ]

柏・クリスティアーノ
Photo By スポニチ

 助っ人をいかにクラブ、そして日本文化になじませるか。「サッカーをサッカーとして伝えているだけでは足りないんです」。得意のポルトガル語を駆使して、柏レイソルで主にブラジル人の通訳を務める焼田功(37)は力を込める。多言語を話せるだけでは足りない。地理的、文化的な差異を縮め、なくしていくのが使命だ。「レイソルがどんなクラブなのか、いまだに勉強をしていますよ」。そう言って笑った。

 焼田は16年、クラブに加入した。元はプロを目指すサッカー少年。14歳の時にブラジルに短期留学すると、大学入学とほぼ時を同じくして休学。再びブラジルに渡った。ただ、2年間の挑戦は失敗に終わる。悔しさからサッカーと距離を置こうと思ったが、不思議とブラジルとの縁は続く。交換留学プログラム、領事館での仕事。卒業後は商社で社会人として働いた。だが、やはり「サッカーが好き」という思いから目を背け続けられなかった。選手としてはダメだったけど……。これまでの経験を生かして、業界に飛び込んだ。

 柏には主にブラジル人を担当する通訳がもう一人いる。勝田道徳(29)だ。マネージャーのように、選手とその家族の身の回りの世話も行う。「市役所など公共施設への書類の提出方法から、買い物まで。とにかく携帯電話が鳴りやまないです」と多忙な日々だが、前向きに取り組めるほどに充実している。人間性などピッチで見えないものが見える自身の仕事は「いろんな人を一緒に生きている感覚」だ。

 小、中、高校でサッカーをやっていた。大学ではポルトガル語を専攻し、「好きなこと二つを仕事にできれば」と進路を決定。デスクワークから現在の道に方向を変えた。

 通訳をするに当たって、勝田が大切にしている言葉がある。焼田から教えてもらった「リロケーションコンサルタント」だ。いかに外国籍選手を日本に順応させるか。「言葉が分からないから」と手伝い過ぎては、学ぶ機会を奪ってしまうことになる。あくまでも「サポート」という立場なのを忘れない。

 監督のように采配を振るうことも、選手のようにピッチでプレーすることもない。それでも勝利に貢献している自負はある。(古田土 恵介)

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2018年12月1日のニュース