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名門低迷…ミラン&インテル、CLどころかELもピンチ

[ 2015年4月21日 07:20 ]

後半、メクセス(右)のオウンゴールかと思われたが、インテル・パラシオのファウルがありノーゴールに

セリエA第31節 インテル・ミラノ0―0ACミラン

(4月19日)
 ミラノダービーは0―0の引き分けに終わった。かつてセリエAの覇権を争った対戦も、今季はACミランが9位、インテル・ミラノが10位と低迷。両チームの本拠ジュゼッペ・メアッツァは7万4000人の観衆で久々に盛り上がったが、試合は決定力不足と“誤審”が目立つ寂しい内容だった。ミラノが決勝の舞台となる来季の欧州CL出場(3位以内)はともに絶望的。欧州リーグ(EL)出場圏の5位以内も厳しくなる痛み分けとなった。

 ピッチ上が最も熱くなったのは後半19分。インテルMFエルナネスが放ったシュートは、ミランDFアントネッリの手に当たって枠外へ飛んだ。だが、判定はハンドによるPKではなくCK。インテル側の猛抗議も受け入れられなかった。

 28分にはミランDFメクセスがオウンゴール。しかし、直前にインテルFWパラシオが相手を倒したため、得点は取り消された。インテルのマンチーニ監督は「パラシオは確かにファウルだったが、あの微妙なプレーが分かるなら、なぜその前のPKを見逃したのか」と“誤審”に憤った。判定以外では決定力不足が目立ち、インテルはシュート数17―7と圧倒しながら枠内シュートはわずか3本。ミランも後半は防戦一方で、得点の気配すら感じられなかった。

 これで9位ミランは勝ち点43。残り7試合でEL出場圏の5位とは7差と、2季続けて欧州カップ戦出場を逃す可能性が高くなった。優勝すればEL出場権を得られるイタリア杯でも両チームは敗退。ミラノの2クラブが欧州の舞台に立てなければ、55年の欧州チャンピオンズ杯(現CL)開始以降初の異常事態だ。

 両クラブの低迷は、赤字経営を禁じる「ファイナンシャルフェアプレー(FFP)」をUEFAが11年に導入してから始まった。インテルはセリエAの審判買収疑惑「カルチョ・スキャンダル」で繰り上げ優勝となった05~06年からリーグ5連覇を果たしたが、FFP対策としてエトオ、スナイダーら当時の高年俸選手を放出せざるを得なかった。10~11年にセリエAで優勝したミランもイブラヒモビッチ、チアゴ・シウバらが退団。いずれもモラッティ前会長、ベルルスコーニ名誉会長が所有する企業からの補てんに頼っていた経営のツケを払う形となった。

 それでも昨季総年俸はミランが9400万ユーロ(約120億円)、インテルが7500万ユーロ(約96億円)でセリエA3、4位。2年間で両クラブ計1億2830万ユーロ(約164億円)の補強費もつぎ込んだが、手当たり次第は否めなかった。ミランは名誉会長の娘バルバラ・ベルルスコーニ副会長がシードルフ前監督、ガリアーニ副会長がインザーギ監督を招へいするなど戦略もバラバラ。インテルは13年にインドネシアの実業家トヒル氏に買収され、ミランもアジア企業への売却が噂される。信用を失って観客動員が減り、欧州CLに出られず多額の分配金も期待できない。悪循環が続く両雄にミラノ市のピザピーア市長は「ここ数年、ガッカリだ」と苦言を呈した。

 ▽ミラノダービー ともにミラノに本拠を置くインテル・ミラノとACミランの対戦で、ホームスタジアムが同じクラブ同士のダービーとしても有名。公式記録に残る初対戦は1909年1月10日(ミラン○3―2)だが、インテル側は08年10月18日(インテル○2―1)と主張している。サポーターがインテルは中産階級、ミランは労働者階級が中心だったため対立の歴史を持つ。50~60年代からセリエAの優勝を左右する対戦となり、欧州CLでも4度対戦。通算成績はインテルの76勝64分け74敗(リーグ戦68勝55分け61敗)。

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2015年4月21日のニュース