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前橋育英5度目の正直!鈴木劇弾からPK制し準決の壁打ち破る

[ 2015年1月11日 05:30 ]

<流経大柏・前橋育英>後半45分、同点に追いつくゴールを決める前橋育英・鈴木(右)

 全国高校サッカー選手権準決勝2試合が行われ、流通経大柏(千葉)相手に1―1に持ち込んだ前橋育英(群馬)はPK戦を5―4で制し、初の決勝進出を決めた。1点を追う後半45分、主将のU―19日本代表MF鈴木徳真(3年)が高校3年間で公式戦初となる起死回生の同点ゴールを決め、過去4戦4敗だった準決勝の壁を打ち破った。前回大会準優勝の星稜(石川)はFW大田賢生(3年)の3戦連続ゴールなどで、日大藤沢(神奈川)を3―0で下し、初優勝に王手をかけた。国立競技場が改修中のため、12日の決勝も埼玉スタジアムで行われる。

【準決勝結果 トーナメント表】

 ついに前橋育英が鬼門をこじ開けた。主役は鈴木だ。後半に先制を許し、敗色濃厚で迎えた後半45分。右サイド寄りで拾ったこぼれ球をペナルティーエリアの外から迷わず右足を振り抜いた。魂を込めた一撃はGKの右手をかすめネットを揺らす同点弾。PK戦へつなげ、PK戦ではチーム1人目の重圧をはねのけ成功させた。勝利へ導いた頼れる主将は「記憶がなくて。“入れ”って思って打ったら入った。うれしいの一言」。手荒い祝福に笑顔がはじけた。

 かけに出た。普段はパスをさばきながら攻守のバランスを取るボランチだが、絶体絶命の窮地で捨て身の攻撃参加。「もうやり残すことがないので前に上がろうと。自分が決めてやろうと思っていた。公式戦初ゴールなのでうれしいです」。過去4度とも準決勝で敗れた山田監督も「“何でダメなんだろう”と考えていたら(鈴木)徳真が取ってくれた」と最敬礼だった。

 鈴木は13年のU―17W杯UAE大会にも出場した世代屈指の司令塔。昔から対向車線の自動車の4桁ナンバーを瞬時に確認したり、通り過ぎる電車の車両の人数を数えるなど無意識に動体視力を鍛え、視野の広さと抜群のポジショニングを誇る。OBの元日本代表DFの故松田直樹さんがつけて以来、エースナンバーとなった「14」を1年時から受け継いでおり「歴代の先輩がつけていて思い入れがある。誇りに思っている」と話す。伝統の重みを知るからこそ、準決勝のジンクスを破りたかった。「全校応援だったし、悔しい顔を見せるのは嫌だった」と、安どの表情を見せた。

 Jリーグクラブからも声が掛かったが、進学先の筑波大を経て夢の日本代表を目指す。その前に高校最後の大仕事、全国制覇が残っている。4強入りした夏の全国高校総体は準々決勝で星稜と対戦し、2―1で勝っているが、再戦を前に「星稜は力があるのでチャレンジャー精神で臨んでいきたい」と大舞台を見据えた。波に乗るタイガー軍団の“心臓”が上州の悲願に挑む。

 ◆鈴木 徳真(すずき・とくま)1997年(平9)3月12日、栃木県生まれの17歳。小学1年からサッカーを始め、FC古河を経て前橋育英に入学。好きなチームはバルセロナで憧れはスペイン代表MFシャビ。携帯電話に取り込んだ02年日韓W杯のドキュメンタリー映像「六月の勝利の歌を忘れない」を見るのが趣味。父、母、姉、兄の5人家族。1メートル67、61キロ。血液型A。

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