×

コートジボワール代表CBはスピード不足 機動力に富む斎藤の抜擢も

[ 2014年5月19日 05:30 ]

CBがスピードのないコートジボワールには、機動力に富む斎藤学(横浜)の抜擢も有効

 ワールドカップ(W杯)ブラジル大会に臨む日本代表メンバーが発表された翌日、初戦で対戦するコートジボワール代表の候補メンバー28人が発表された。ヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・シティー)、ドログバ(ガラタサライ)らビッグネームのそろう強豪を日本代表はどう攻略すべきか。スカパー!、Jスポーツなどで、海外サッカーの解説者として活躍しているサッカージェーナリスト粕谷秀樹氏に聞いた。

 日本代表のザッケローニ監督はまなじりを決した「初戦のコートジボワール戦が重要だ」。コートジボワールの主将Y・トゥーレも「日本戦が我々の命運を左右する」と、引き締まった表情で語った。グループリーグはわずか3試合だ。スタートのつまずきは致命的な1敗になりかねない。両チームとも必勝態勢である。

 日本に限らず、アフリカ勢攻略は東アジア諸国にとって永遠の課題だ。天性の運動能力では勝負にならないため、ポゼッションで優位に立っていたにもかかわらず、“一発”に屈する場合が多々ある。当然、今回のコートジボワール戦も、Y・トゥーレのミドルシュート、ドログバの高さにしてやられる危険が付きまとう。ジェルビーニョ(ローマ)のスピードも要注意だ。

 しかも日本はセンターバックが弱点であり、攻撃の中核を担う香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、本田圭佑(ACミラン)がシーズン中はともに不振。試合勘を含めたコンディショニングに少なからぬ不安がある。

 ただし、コートジボワールのセンターバックも堅くはない。スレイマン・バンバ、ディディエ・ゾコラ(以上、トラブゾンスポル)、コロ・トゥーレ(リバプール)など、誰が出てきてもスピード不足だ。当然、ライン設定は高くなく、日本がバイタルエリアを活用できる可能性も出てくる。また、予選でもめたキャプテン人事をめぐる人間関係が依然としてくすぶり、感情のもつれが一気に火を噴く危険もはらんでいる。強固な個の力が分散し、組織として成立しないケースも起こりうるだろう。

 ここが付け目だ。

 前述したように、運動能力では大差があるものの、日本人には己を消して組織に全力を注ぐ姿勢が身についている。引っ込み思案と批判したければそれでいい。前に出るだけが勝負ではない。さらに、ザッケローニ監督は自他ともに認める戦略家で、なおかつ研究熱心だ。コートジボワール対策は着々と練られているに違いない。コートジボワールの弱点を攻略すべく、機動力に富んだ選手、例えば斎藤学(横浜)を抜擢するプランもいいだろう。

 FIFAランク(世界一的を射ていない格付けだが)で下まわるとはいえ、日本が勝てない相手ではない。決してひるまず、打ち合い覚悟で闘えば、勝利への道は必ず拓けてくる。

 ◇粕谷秀樹(かすや・ひでき)東京都・下北沢生まれ。「日本スポーツ企画出版社」にて週刊サッカーダイジェスト副編集長、月刊(後に月二回刊)ワールドサッカーダイジェスト初代編集長、同社の編集局次長などを経て、2001年に独立。現在は「スカイパーフェクTV!」、「Jスポーツ」などで、欧州チャンピオンズリーグ、プレミアリーグの解説者として活躍中。

続きを表示

2014年5月19日のニュース