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コートジボワール代表のラムーシ監督 強まる更迭論

[ 2013年12月17日 22:57 ]

インテル・ミラノではザッケローニ監督(右)と師弟関係だったが…

 14年W杯ブラジル大会の1次リーグC組で日本が初戦で対戦するコートジボワール代表のサブリ・ラムーシ監督(42=フランス)が激しい逆風にさらされている。アフリカ予選を無敗で勝ち抜き3大会連続の本大会出場を決めたにもかかわらず、地元メディアからバッシング、ファンから解任要求を受けているのはなぜなのか。本人の話や地元報道などからその原因を探った。

 W杯本大会出場を決めたにもかかわらずコートジボワールでは「ラムーシ解任」を求める声が高まっている。「Koaci.com」という地元ニュースサイトの調査では74.2%が監督辞任に賛成。さらに「今こそラムーシを追い払え」という監督交代を求めるフェイスブックも出現するという状況に、ラムーシ監督は「W杯出場という任務は達成した。それでも辞任を要求する人々がいる。愉快ではない」と不満を口にしている。

 なぜこれほど不人気なのか。理由(1)は国民との意識のズレだ。これは指揮官自身も認識しており「人々は、コートジボワールが世界一の攻撃力があり、全試合に5―0で勝つ必要があると信じているようだ」と説明する。つまり、ファンはFWドログバを筆頭に、世界に誇るタレントがいるのだから攻撃的な試合が見たい。だから「もっとバランスを取る必要がある」と“保守的”な戦いを続ける指揮官に不満を募らせているというわけだ。

 理由(2)は結果も残していないこと。今年1~2月に行われたアフリカ選手権は、優勝したナイジェリアに準々決勝で1―2で敗れ8強止まり。大会前にラムーシ監督は「目標は前大会の結果(準優勝)を超えることだ」と堂々と優勝宣言をしていたにもかかわらず、敗退後は「結果は残念だが、負けることは仕事の一部。辞めるつもりはない」。この言動は国民の目に“居座り”と映った。

 理由(3)はそもそも実績がないことだ。ラムーシ監督にとって12年5月に就任した同代表が初の指導者業。引退後はフランスで解説者を務めただけでコーチ経験すらなかったため「なぜラムーシ?」(ノール・シュド紙)「協会は研修生を選んだ」(ル・タン紙)と地元メディアから一斉にバッシングを浴びた。同協会のディアロ会長が「監督選びは協会の専任事項」と新人監督を選んだ理由を明言しなかったことも、不信感を増幅させた。

 同協会は監督交代を否定しているが、前大会予選突破後にハリホジッチ監督を解任した前例がある。ラムーシ監督は現役時代の03~04年にインテル・ミラノでザッケローニ監督の下でプレー。来年の親善試合の結果次第では批判がさらに高まり、W杯初戦で“師弟対決”が実現しない可能性もありそうだ。

 ▼サブリ・ラムーシ(Sabri Lamouchi)1971年11月9日、フランス・リヨン生まれの42歳。家族のルーツはチュニジア。現役時代のポジションはボランチで、91年にフランス2部アレスでプロデビューし、オセール、モナコに移籍。00~03年に在籍したパルマでは中田英寿ともプレーした。インテル・ミラノ、ジェノアを経て05~06年マルセイユでは中田浩二と同僚。06~09年にカタールでプレーして引退。フランス代表として96年欧州選手権に出場するなど12試合1得点。解説者を経て、12年5月にコートジボワール監督に就任。

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2013年12月17日のニュース