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千葉「1部」に幕…エース巻は残留明言せず

[ 2009年11月9日 06:00 ]

<川崎F・千葉>J2降格が決まり、涙でサポーターの元へ駆け寄る千葉・江尻篤彦監督(右)と下村東美

 J1第31節は8日、9試合が各地で行われ、17位の千葉が首位の川崎Fに2―3で敗れ、来季のJ2降格が決まった。前半35分にMF工藤浩平(25)のゴールで先制。逆転された後、1度は追いついたが、後半ロスタイムに力尽きた。千葉は前身・古河電工時代から日本リーグ、Jリーグを通じて44シーズン2部落ちのない唯一のチームだったが、栄光の歴史がついに途切れた。15戦連続未勝利、7月に江尻篤彦監督(42)が就任後は12戦連続未勝利での陥落となった。

【試合結果
J1順位表


 44シーズン守ってきた「1部」から、ついに千葉が滑り落ちた。終了のホイッスルと同時に黄色いユニホームがピッチのあちこちでうずくまり、嗚咽(おえつ)が漏れる。現役時代を古河電工―市原一筋で過ごし、今年7月に就任した“ミスター・ジェフ”江尻監督は、サポーターの前で何度も腰を折り、頭を下げ、ひたすら男泣き。タオルで涙をふきながら現れた会見場では「僕の未熟さが降格した大きな原因だと思います」とすべての責任を背負い込んだ。

 降格は起こるべくして起きた。98年はJ1参入決定戦で福岡を破り、99年は得失点差で生き残るなど、00年まで3年続けて残留争いを制した。昨季も最終戦でFC東京に0―2とリードされてから11分間で4点を奪い、奇跡の残留。土壇場では必ず意地を見せてきたが、そこから大幅な補強をしなければ1年後にこうなることは明白だった。

 開幕前の助っ人FWの補強はゼロ。開幕後も練習試合を一切せず、週休2~3日というミラー前監督の方針の結果、選手の体は「いつもオフ明けみたい」な状態だった。当然ケガ人が続出し、連係を深めようにも実戦はなし。慌てて補強に動いたものの、FW李根鎬(現磐田)の2度の売り込みをあっさり却下し、ようやく長身FWネット・バイアーノが加入すれば、獲得を望んだミラー前監督を更迭。すべてがちぐはぐだった。それでも三木博計社長(59)は「(降格の原因は)いっぱいあるが少し時間を置いてから分析したい。いろいろな責任の取り方はあるが2011年に(J1に)戻すことが大事」と主張。降格の責任はミラー前監督と昼田強化シニアマネジャー(9月に解任)に押しつけ、続投する意向だ。

 心労から就任直後の2週間で4・5キロもやせ、円形脱毛症まで発症した江尻監督も来季は続投の見込み。だが、選手の去就は微妙だ。チームリーダーのDF坂本は「生半可な気持ちで(新潟から1年で)復帰したわけではない」と話したが、痛々しいほど泣きっぱなしだったFW巻は「申し訳ない」を繰り返した後で「僕の力でもう一度J1に上げる、という表現は(現時点では)難しい。今はいろいろなことが頭に入ってきて…」と微妙な言い回し。華麗な歴史にピリオドを打った千葉には苦難の道が待っている。

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2009年11月9日のニュース