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俊輔“勝ちたかった”…内容圧倒もドロー

[ 2009年2月12日 06:00 ]

<日本・オーストラリア>オーストラリアイレブンと健闘を称え合う田中マルクス闘莉王らを背に、足早にピッチを去る中村俊輔

 日本代表は11日、日産スタジアムでW杯アジア最終予選第4戦のオーストラリア戦を行い、0―0で引き分けた。MF中村俊輔(30=セルティック)は何度も好機を演出して、マン・オブ・ザ・マッチを獲得。06年W杯ドイツ大会初戦で逆転負けを喫した宿敵へのリベンジはお預けとなったが、試合内容には手応えを口にした。日本は2勝2分けとなり、A組の2位のまま。次戦は3月28日にホームでバーレーンと対戦する。

【試合結果
W杯アジア最終予選A組


 試合終了の笛が鳴り響くと、中村は複雑な表情を浮かべて天を仰いだ。収穫と課題が見えた90分。2年半前の雪辱を果たせなかった悔しさと、チームが着実に成長している手応えが交錯していた。「マイナスなことを言えばホームで勝ち点3が取れなかった。ただ、ほぼ90分間、相手を守らせることができた。ホームうんぬんじゃなくて先が見えてきたと思う」。マン・オブ・ザ・マッチに選出された司令塔は宿敵との激闘をこう振り返った。

 素早いパス回しを駆使した攻撃で相手を自陣にくぎ付けにした。06年W杯ドイツ大会初戦では終盤の3失点で1―3の逆転負け。パワープレーの前になすすべなく敗れたが、今回は違った。シュート数はオーストラリアの3本を大きく上回る11本。欧州リーグ所属選手をズラリとそろえる相手を内容では圧倒し、中村は「欧州のような国を相手にどうやって戦うべきか、だいぶ形になってきた」と手応えを口にした。

 ハーフタイムの光景にもチームの成長を感じた。前半は左サイドバックの長友の位置が高過ぎて右サイドの攻撃が機能しなかったが、前半終了後に中沢や闘莉王をはじめとする複数の選手が同じ修正点を指摘。中村は「長友が前に入り過ぎていたのが少し引っかかっていたけど小さい修正点をみんなが分かっていた」と納得の表情を浮かべた。組織で戦う日本は選手たちが同じイメージを描くことが不可欠なだけに、ハーフタイムで選手間の意見が一致したことは大きな意味を持っていた。

 もちろん課題もある。中村は9本のCKが不発に終わるなどセットプレーの精度を欠いたことを受け「高い相手の時にどうするか。もっと詰めていかないといけない」と分析。試合を通して精彩を欠いた長友には「今の時代はサイドバックがゲームメーカーにならないといけない」とあえて厳しい言葉を浴びせた。

 W杯出場に向け貴重な勝ち点1を取ったことは大きな一歩。だが、最終予選は2勝2分けとなり、日本はA組の2位のまま。実り多い試合だったとはいえ、首位奪取とオーストラリアへのリベンジに失敗したのが現実だ。中村は「僕らの目標はもっと上。W杯で上に行くために“パスして動く”という日本のサッカーを確立していければ」と前を向いた。チームが掲げる目標は「W杯4強」。日本の誇るレフティーは宿敵とのスコアレスドローを糧に、チームを、さらなる高みに導いていく。

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2009年2月12日のニュース