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浦和目覚めた!闘莉王ボランチ1発

[ 2008年3月31日 06:00 ]

<浦和・新潟>後半開始直後、ゴールを決めた浦和・闘莉王は看板を乗り越えながら指を突き上げ喜ぶ

 新生レッズが待望の今季初勝利を挙げた。J1第3節9試合が30日に行われ、浦和は、ゲルト・エンゲルス新監督(50)のリーグ初陣となったホーム新潟戦で3―0と快勝した。左太腿肉離れから復帰した田中マルクス闘莉王(26)をプロ初の守備的MF(ボランチ)で起用。後半開始直後には2点目のミドル弾も決めた。リーグ戦は昨年10月の千葉戦以来8戦ぶりの勝利、連続無得点も5試合で止め、浦和がやっと前に進み始めた。

 見たこともない光景に場内がどよめいた。中盤のど真ん中に、闘莉王は君臨した。プロではボランチ初先発。だが、これもサプライズの序章にすぎない。1―0の後半開始40秒。急造MFとは思えぬエジミウソンとのパス交換で華麗にDF網を突破し、ミドル弾を叩き込んだ。「入っちゃったね。昨日のシュート練習では1本も入らなかったんだけどね」。闘将のほおは緩んでいた。

 胸に、しびれる一言を刻んでいた。「攻撃の組み立ては好きにやっていい」。試合前、エンゲルス新監督から言われ、意気に感じた。練習でも28日の紅白戦で1度やっただけの大胆采配。失敗すれば後のない“賭け”だったはずだが、闘莉王は「プレッシャーを正面から受けてしまう人もいるけど、オレは力に変えられる人間。ゲルトさんのためにも勝ちたかった」と胸を張った。

 赤い悪魔は生まれ変わった。大半のボールが闘莉王を経由。小気味よく左右前後にボールが散った。オジェック体制では完全制御された闘莉王の攻撃。結果、自由を失った浦和の動きは敵に読まれ、5戦連続無得点のトンネルに迷い込んだ。これもエンゲルス監督の眼力か、それとも魔法か、闘莉王の攻撃本能はピッチ上にさく裂。中村GMも「展開力があり対人に強く点も取る。日本を代表するボランチになれる」と絶賛した。

 オジェック前監督の解任という前代未聞の“劇薬”が処方された悪夢の開幕2連敗を無駄にはできない。前監督と180度方針の異なる新監督は選手への信頼を前面に打ち出し、適性を見抜いた仰天采配で初陣を白星で飾った。アジア王者が苦しんで手にした今季1勝。闘莉王はしみじみ言った。「勝つのは大変だと思い知った。全員の気持ちが1つになったとき、勝利は得られる。まだ道は長い」と。

 今後、闘莉王のボランチ起用が続くかは未定だが、貴重なオプションとなったことは事実。眠れる赤い悪魔が、ついに目を覚ました。

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2008年3月31日のニュース