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選手団主将「精神的な柱」…岡部、団体も無念の落選

[ 2010年2月23日 06:00 ]

ジャンプの公式練習を終え、顔をしかめる岡部

 22日(日本時間23日)のノルディックスキー・ジャンプ団体に出場する日本の4選手が21日に決まり、日本選手団主将の岡部孝信(39=雪印)が個人2種目に続いて団体戦もメンバーから外れ、4度目の五輪を出場機会なしで終えた。夏季、冬季を通じ、五輪で日本選手団主将が競技に出場しないのは初めて。全日本チームは今季不調の岡部を「団体戦での精神的な柱」として代表に選出しながら、一度も試合に出さず帰国させることになった。

 団体戦メンバーを決める21日の公式練習。栃本翔平(20=雪印)、竹内択(22=北野建設)と2枠を争う岡部は3回目で130メートルをマークした。3本の平均飛距離で竹内を上回る結果。「ジャンプのレベルが違う。全然低い」と言いながらも「最後がここに来て一番良かった」と手応えを口にした。ところが、斉藤智治監督(53)が発表したメンバーに岡部の名はなかった。
 今季不振の岡部が代表入りしたのは、世界選手権で2大会連続銅メダルを獲得している団体戦をにらんだものだった。98年長野五輪金メダルなど重圧がかかる場面でミスをしない冷静なベテランを、首脳陣は「団体はメダルを狙う。岡部は欠かせない存在」と持ち上げた。今季W杯実績では湯本史寿(25=東京美装)が上だったにもかかわらず、選考で岡部を代表に押し込んだ。
 個人戦2試合で栃本と竹内が結果を出したわけではない。それでも岡部を外した理由について斉藤監督は、団体戦が行われる午前中は不利な追い風が吹くとの予想を挙げた。「今の状態の岡部は向かい風なら選べるけど、追い風では厳しい。助走スピードも1キロ遅い。いい時なら空中のテクニックでカバーできるが…」。しかし、この日の公式練習は正午開始。メンバーを決める手順にも疑問が残った。
 今となっては日本選手団主将という大役を任され、無口な岡部が必死にスピーチの練習を繰り返した姿が悲しい。今回は父・弘さん(66)ら家族も観戦に訪れていた。すでに39歳。引退か、現役続行かは帰国後に話し合うが、43歳で迎える14年ソチ五輪については「目指すわけがない」と否定している。岡部は練習で17本飛んだだけで、最後の五輪を終えた。

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2010年2月23日のニュース