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日本勢より上位…たった1人のジャマイカ人スキーヤー

[ 2010年2月23日 06:00 ]

男子スキークロス準々決勝に進出したジャマイカのカー

 【男子スキークロス】「スキーをはいたウサイン・ボルト」。陸上界の英雄にちなんで、そう呼ばれるようになった。「ジャマイカ人のスキーヤーと聞くと、ヘルメットからはみ出したドレッド・ヘアで派手に転倒することを期待されるかもね。でも僕は例外だ」。五輪初採用のスキークロスに出場したエロール・カー(23=ジャマイカ)は、多くの人が抱く固定観念を振り払うのに一生懸命。でも笑顔は絶やさなかった。

 父がジャマイカで母が米国の出身。生まれたのはニューヨークで、4歳のときにカリフォルニア州のスキー・リゾートとして有名なレイクタホ郊外に移り住んだ。母はスキーの元選手で、雪になじむのに時間はかからなかった。ジュニア時代にはアルペン滑降の米国代表候補。だが「父の国にあこがれた。国旗の緑色がたまらなく好きなんだ」と、2年前にスキークロスに専念した時にジャマイカ国籍を選択した。
 スポンサーの1社は「クール・ランニングス」という名の飲料メーカー。88年カルガリー五輪で話題を呼んだジャマイカ・ボブスレー代表のニックネームを付けた会社が今、カーの財政基盤を支えている。「彼らがいたからこそ僕が今、ここにいる」。コースから飛び出すほどのクラッシュに縁はないが、今大会への参加資格を得られなかったボブスレー代表の代わりに、カーが母国を象徴する存在になった。
 今季のW杯では総合31位だが五輪本番ではタイムで競う予選で9位。4人1組で順位を争う決勝トーナメントでは1回戦を突破し準々決勝に駒を進めた。日本の滝沢は予選26位で1回戦敗退。日本はたった1人しかスキーヤーがいない国に負けてしまったことを、皆さんお気づきだろうか?

 ◆エロール・カー 1986年4月12日生まれの23歳。少年時代にはバイク・モトクロスなどもこなし、08年にスキークロスのW杯にデビュー。昨年の世界選手権(猪苗代)では10位。昨年のW杯は総合38位。1メートル75、95キロ。

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2010年2月23日のニュース