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“ノーマーク”永井がケイリン界に初メダル

[ 2008年8月17日 06:00 ]

男子ケイリンで銅メダルを獲得、表彰式で笑顔の永井

 【北京五輪 自転車】日本競輪界の悲願が達成された。自転車の男子ケイリンで、永井清史(25=日本競輪選手会)が銅メダルを獲得した。日本発祥の五輪種目は柔道とケイリンの2つだけ。悲願の五輪のメダルを、ついに獲得した。五輪の自転車競技のメダルは、96年アトランタ五輪千メートルタイムトライアルの十文字貴信の銅メダル、04年アテネ五輪チームスプリントの銀メダルに続く3個目で、日本自転車史に名前を刻んだ。

 最後は執念で走りきった。「ケイリンで日本勢が決勝に残るのも初めて。さらにメダルも獲れてうれしい」。ケガと挫折を乗り越えた永井が北京のトラックを激走した。
 1回戦で3着、敗者復活戦に回った。ここで3組1着となって準決勝に進出。スタート直後に2人が落車する幸運も手伝い、2位で決勝に駒を進めた。勝負の決勝は最後尾に控えた。残り2周。一気にまくった永井はトップに躍り出る。最後に英国勢2人にかわされながらも、必死に表彰台を死守した。
 02年に世界自転車競技センター(スイス)に留学し、日本競輪学校に特別選抜で入学したエリート。圧倒的なスピードを誇ったが、プロの競輪選手としては目立つ存在ではなかった。北京五輪でも、永井ではなく、07年賞金王の伏見に初メダルが期待された。しかし、永井が五輪にかける思いは誰よりも強かった。
 今年2月に本職の競輪を離れて、五輪出場に専念。「オレには自転車しかない。トレーニングするしかない」とペダルを踏み、奮起した。
 エースと言われた伏見は敗退。「伏見さんが負けたので、自分が頑張ろうと思った。アテネ五輪に出られず、悔しい思いをしたので、今回はメダルを獲れてよかった」。大穴男が、競輪から世界のケイリンとなった五輪種目で、日本に悲願の初メダルをもたらした。

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2008年8月17日のニュース