【紫苑S】ミスフィガロ 弔い白星で秋華賞切符を

[ 2021年9月10日 05:30 ]

紫苑Sで秋華賞切符を狙うミスフィガロ

 中山の秋華賞トライアル「第6回紫苑S」では8日に老衰で死んだ名牝ブロードアピールを祖母に持つミスフィガロが秋華賞切符(3着以内)を目指す。

 牝馬3冠最終戦・秋華賞(10月17日、阪神)の出走権獲得を目指し、ミスフィガロが紫苑Sに向かう。全兄がダービー馬ワグネリアン。押しも押されもしない良血だが、兄妹に共通する切れ味はその剛脚で重賞を勝ちまくったブロードアピールにさかのぼる。今週8日、その生涯に幕を閉じた祖母への思いを胸に、ここから大舞台へ駆け上がる。

 競走馬の寿命は短い。「27歳、老衰」。新聞記事に目を落とした友道師に20数年前の記憶が走馬灯のように駆け巡った。「助手時代(松田国英厩舎)に“どんな馬か?”“競馬に使えるのか”と北海道の牧場まで乗りに行った。厩舎に来てから調教にも乗ったけど、凄いピッチ走法は競馬で見た通り」と振り返る。

 マカヒキ、ワグネリアンでダービー2勝。友道師と金子真人オーナーのつながりはこのブロードアピールから始まった。地方、ドバイでも出走し、重賞6勝を含めて通算36戦13勝。繁殖牝馬として直子から活躍馬は出なかったが、4番子ミスアンコールがワグネリアンを産んだ。ミスフィガロはその全妹。2連勝でようやく軌道に乗った期待馬に指揮官は優しいまなざしを向ける。

 「前走後、放牧に出して状態は維持。体重はそう変わらないけど、見た目はひと回りもふた回りも大きく、しっかりしてきた。輸送は問題ないし、開幕週の奇麗な芝もこの馬には合うと思う」

 400キロをわずかに超える小柄な牝馬ながら、パンチの利いた末脚が武器。小回りコース攻略が鍵だが、内容次第では秋華賞最大の惑星になり得る存在だ。

 ブロードアピールが勝った00年の根岸Sは“史上最高の追い込み”として、今でも競馬ファンに語り継がれている。一刀両断。紫苑Sが偉大な祖母にささげる初タイトルとなる。

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2021年9月10日のニュース