10年凱旋門賞で2着ナカヤマフェスタ “必然の好走”見抜いた二ノ宮師の眼力

[ 2021年9月10日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、フランスでは凱旋門賞(G1)の前哨戦が行われる。

 舞台となるのは本番と同じパリロンシャン競馬場の芝2400メートルで、該当するのは牝馬のヴェルメイユ賞(G1)、古馬のフォワ賞(G2)、3歳のニエル賞(G2)の3競走だ。この中のフォワ賞を2着後、本番の凱旋門賞でも2着に善戦した日本馬が、2010年のナカヤマフェスタ(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)だ。

 同馬はこの年の宝塚記念でG1を初制覇。凱旋門賞挑戦が決定したわけだが、さすがの眼力の持ち主と思わせたのは二ノ宮調教師(廃業)。宝塚記念より前に締め切られていた凱旋門賞の最終登録に当時G1未勝利馬のナカヤマフェスタを登録していたのだ。しかもこれが同厩舎では11年前に凱旋門賞を2着したエルコンドルパサー以来の登録馬だったというのだから恐れ入る。

 フォワ賞の結果は先述した通り2着。この時点で、フォワ賞で負けた馬が巻き返して凱旋門賞を勝った例は18年もさかのぼらなければいなかった。それだけに本番での苦戦が予想されたが、二ノ宮師はかぶりを振った。

 「今回は輸送後で太い状態。そのせいか鞍を置いた途端にうるさくなりました。このひと叩きで次はもっと良くなるでしょう」

 また、現地入り後、環境に慣れるに従ってUターンしたり、立ち上がったりと、父ステイゴールドの難しい面を出したそうだが、そのタイミングもこの前哨戦を考えると中途半端に悪かったようだ。

 それでも、前哨戦の結果を冷静に判断すると非常に優秀だった。6頭立てで1800メートル通過2分0秒9という超スロー。逃げ切ったダンカンをはじめ、ほとんどの馬が道中の隊列通りゴールした中、ナカヤマフェスタだけは3番手から勝ち馬に迫る2着まで追い上げてみせたのだ。

 これらを考えると、凱旋門賞での好走も偶然ではなかったことが分かるだろう。

 さて、今年はフォワ賞にディープボンド(栗東・大久保龍志厩舎)が出走する。本番につながるレースをしてくれるよう、願おう。 (フリーライター)

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2021年9月10日のニュース