【日本ダービー】コントレイル120点!皐月賞時「龍」から止まらぬ進化 まずは2冠へ王手

[ 2020年5月26日 05:30 ]

鈴木康弘「達眼」馬体診断

<日本ダービー>達眼・鈴木康弘氏が満点超えの120点を付けたコントレイル。皐月賞からさらに進化し、ダービーすら通過点と高く評価した
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 無敗2冠は通過点。「王将」の先に見えるのは伝説の最強駒だ。鈴木康弘元調教師(76)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第87回ダービー(31日、東京)では無敗の皐月賞馬コントレイルに満点超えの120点を付けた。達眼が捉えたのは皐月賞時の「龍」の姿から「王将」への進化。王将の成り駒「自在天王」の域にも近づく不世出の大器だ。ダービー全出走予定馬のボディーを皐月賞に続き将棋の駒になぞらえながら解説する。

 桜が散る4月半ばからアジサイのつぼみが膨らむ5月下旬までの1カ月半。晩春から初夏へと季節が移り変わるこの期間は短いようで長い。首都圏に発令されていた緊急事態宣言もほぼ同じ1カ月半です。つくばの自宅周辺を歩けば、静まり返っていた街が活気を取り戻しつつあります。閑古鳥が鳴いていた芝生の公園からは将棋の乾いた駒音が聞こえてくる。皐月賞の4月中旬にはコロナ禍のため自宅にこもって将棋ソフトと対局していた愛好家たちがマスク着用で広場に戻ってきました。3歳馬にとってのこの1カ月半も短いようで長い。

 将棋の駒になぞらえた皐月賞の馬体診断。コントレイルは飛車の成り駒「龍」に例えましたが、1カ月半で「王将」に進化していました。460キロ前後の体重以上に大きく見せる馬体。その写真は等身大より大きく描くことで権威を示す国王の肖像画のようです。頂点に立つ古馬然とした風格。歴戦の競走馬らしい鋭い顔立ちをカメラマンに向けながらハミを穏やかに受け、尾を自然に流して悠然とたたずんでいます。3歳春にここまで大人びた立ち方ができる馬はまずいない。

 立ち姿が気性の成熟を示すなら、馬体は2400メートルの適性を告げています。長距離もこなせるゆとりのある骨格。疲労が蓄積しづらい筋肉。2歳時からディープインパクト産駒らしい柔らかい筋肉が前後肢にバランス良く発達し、均整の取れた造形をつくっていました。非凡さがひと目で分かる、しなやかな体つきをホープフルS時は縦横無尽の広い利きを持つ「飛車」に例えました。その大駒が飛躍的に馬体を成長させたのが皐月賞。未発達だったキ甲(首と背の間の膨らみ)と首差しが抜け、肩とトモに筋肉の厚みが加わった。飛車は斜め前後方にも利く最強駒「龍」に成ったのです。

 この1カ月半の間に蹄も持ち直しました。皐月賞時には両前蹄に施されていたエクイロックス(接着装蹄)が消えています。順風満帆で迎える無敗2冠馬の座。しかし、若き王将にとってダービーは通過点にすぎません。体が固まっておらず、全体のつくりに余裕がある。その余裕とは今後の成長を受け入れる余白。途方もなく大きな器を持った王将はさらに進化します。

 平安時代後期に創案された「摩訶大(まかだい)将棋」には「自在天王」と呼ばれる王将の成り駒があるらしい。駒の配置されていないあらゆる場所に飛べる全知全能の駒です。桜が散る4月半ばからアジサイのつぼみが膨らむ5月下旬までの1カ月半は自在天王へ進化する過程。まずは2冠へ王手です。(NHK解説者)

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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