【桜花賞】エーポスの中村徹朗助手「亡き戦友と尊敬する師匠へ、感謝の気持ちを届けたい」

[ 2020年4月10日 10:30 ]

桜花賞にエーポスと挑む中村助手(右)北出調教師 (撮影・亀井 直樹)
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 嬉しい誤算だったトライアル制覇から3週間、一転して意気揚々と参戦する本番となった。フィリーズレビューを5番人気で快勝したエーポスだが、当時は決して完調ではなかった。中村助手が苦笑いで明かす。

 「正直、自信はなかったです。当日はスタンドで見ていましたが、勝っても驚くばかりで嬉しいという感情が沸いてこなかったぐらいです。枠とジョッキー、本当にうまくハマりました」

 だからといって、桜花賞を“お客さん”で終わらせるつもりはない。中村助手を本気にさせたのは、ここに来ての急上昇だ。

 「レース後は2週間、楽をさせて体を戻しました。減り続けていた体重もデビュー戦(462キロ)ぐらいまで戻ってるし、体に張りも出てきました。間違いなく前走以上の出来ですよ」

 先々週にはエーポスの半兄カイザーミノルで天神橋特別を制するなど、勢いに乗っている中村助手だが、昨年は公私ともに苦しい1年だった。4年以上に渡って苦楽をともにしてきたアクティブミノルが転厩先の船橋で調教中に故障して安楽死。一昨年12月に中央の登録を抹消してから、僅か5カ月後の悲劇だった。そして9月には自身が肺炎で緊急入院。10日ほど仕事に穴をあけることになった。

 「アクティブは初めて出合った“凄いポテンシャルを持った馬”でした。いい経験をたくさんさせてもらいましたが、自分に腕があればもっとやれたのに…という思いがあるんです。あの馬がいたからこそ、また重賞やG1に出たいという気持ちになっています」

 まさに“アクティブ”という言葉が似合うホースマンだ。競馬学校を卒業してから2年間も所属厩舎が決まらず。そんな時、牧場を訪れた北出師に“僕を雇ってください”と売り込んだことで一気に道が開けた。

 「拾ってもらって、先生には感謝してもしきれません。しかも、いい馬を任してもらっていますからね。先生はスタッフの話を聞いてくれるので、とてもやり甲斐を感じています」

 厩舎の飲み会では盛り上げ役を買って出るムードメーカーだが、愛馬を前にすると真剣そのもの。亡き戦友に、そして尊敬する師匠に、勝って「ありがとう」の思いを届けたい。(岡崎 淳)

 ◆中村 徹朗(なかむら・てつろう)1984年(昭59)8月20日生まれ、兵庫県神戸市出身の35歳。夢野台高校を卒業後、馬に関する仕事の専門学校であるアニマルベジテーションカレッジに入学。岡山県の栄進牧場久世育成センターを経て、09年から北出厩舎へ。ルールプロスパーで14年と15年の京都ハイジャンプ、アクティブミノルで14年の函館2歳Sと15年のセントウルS、エーポスで今年のフィリーズレビューを制している。

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