キングカメハメハ死す ディープの後を追うように…さらば平成の二大巨頭

[ 2019年8月11日 05:30 ]

04年、ダービーを制したキングカメハメハと安藤騎手
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 04年ダービー馬で、種牡馬としてもG1ホースを多数輩出したキングカメハメハが9日夜、けい養先の社台スタリオンステーション(北海道安平町)で死んだ。18歳だった。現役時はG・12勝を含む8戦7勝。産駒のJRA勝利数1829勝で歴代3位(10日現在)。7月30日に急死したディープインパクトと並ぶ、平成の日本競馬における二大巨頭。永遠のライバルの後を追うように、静かに天国へと旅立った。

 ディープインパクトの急死から、わずか10日余り。日本競馬界に、またも衝撃が走った。けい養先の社台SSによると、キングカメハメハは9日夕方から熱が上がり始め、同午後10時ごろから容体が急変。懸命の治療もむなしく、そのまま息を引き取った。今年に入ってから免疫機能の低下で体調を崩しやすくなっており、今春の種付けを中止。先月中旬には種牡馬引退を発表し、功労馬として余生を送る矢先の突然の悲報となった。同SS事務局の三輪圭祐氏は「体調は良くなったり悪くなったりだったが、すぐに命がどうこうという感じでもなかった。ディープがいなくなったばかりですし、スタッフ一同、大きなショックを受けている。いろいろ教わり牧場全体に好影響を与えてくれた。感謝の気持ちでいっぱい」と語った。

 ディープと同じ金子真人氏の所有馬。04年にNHKマイルC→ダービーを連勝し、初の“変則2冠”を達成した。秋初戦の神戸新聞杯も快勝したが、直後に右前浅屈腱炎を発症。通算8戦7勝で早期の現役引退を決断し、05年から種牡馬生活を送っていた。

 種牡馬としてもドゥラメンテ、レイデオロと2頭のダービー馬をはじめ3冠牝馬アパパネ、ダートG1・10勝のホッコータルマエなどフィールドを問わない多彩な活躍馬を輩出。国内外でG1・6勝を挙げ、13年の年度代表馬に選出された代表産駒ロードカナロアは、既に後継種牡馬としてアーモンドアイ、サートゥルナーリアをターフに送り込んでいる。10、11年には種牡馬リーディングを獲得。ディープが首位だった12~18年も2位を死守した。産駒のJRA・G1勝利は11頭で22勝。飽和状態にあるサンデーサイレンス系の繁殖牝馬に配合できる貴重な血脈として、平成後期の競馬シーンをディープと共にリードした。

 今春誕生した約60頭の当歳がラストクロップ。21年夏以降に順次デビューとなる。先月9日のセレクトセール当歳セリには産駒6頭が上場され全て落札。ラスティングソングの2019は1億9000万円の高値をつけた。現役時代に管理した松田国英師は、10日昼に社台SSに駆けつけ手を合わせた。「キングカメハメハの夢と血を引き継いだ馬が、これからもファンのみなさんにたくさんの夢を見せてくれるでしょう」と名馬の死を悼んだ。ディープとキンカメ。日本競馬が誇る両雄の相次いだ死が、一時代の終わりを告げた。

 ▼安藤勝己元騎手(現役時のキングカメハメハの主戦)ダービーを勝たせてもらったことが強く印象に残っています。絶対に勝てると思って騎乗したのは、後にも先にもあのダービーだけですね。種牡馬としては、あの精神力の強さが産駒に伝わったと思うし、特にロードカナロアを見ていると、そう強く感じます。残念ですが、この血統はつながっていくと思いますし、彼の強さを語り継いでいくことが一番の供養。ご冥福をお祈りします。

 ▼国枝栄師(管理した産駒アパパネが牝馬3冠を達成)金子真人オーナーの傑出した競走馬であり、種牡馬だった。ロードカナロアやルーラーシップなど後を継ぐ種牡馬もたくさん出ている。早めの世代交代ということだろう。アパパネだけではなく、アーモンドアイ(父ロードカナロア)も孫だからね。キングカメハメハがいなければ、この2頭の3冠牝馬には出合えなかった。感謝の気持ちでいっぱいです。

 ◇キングカメハメハ 父キングマンボ 母マンファス(母の父ラストタイクーン) 栗東・松田国英厩舎 馬主・金子真人氏 生産者・北海道早来町(現安平町)ノーザンファーム 戦績8戦7勝 総獲得賞金4億2973万3000円。04年JRA賞最優秀3歳牡馬。

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