【有馬記念】藤沢和師手がけるレイデオロにクリスエス再現期待

[ 2018年12月21日 05:30 ]

レイデオロと寄り添って歩く藤沢師(撮影・平松さとし)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】先週の日曜日の話である。私は東京から阪神競馬場へ向かう道中を、藤沢和雄調教師とご一緒させていただいた。

 経験も知識も人一倍の伯楽が発する見解や意見は目からうろこが落ちるモノばかり。本当に勉強になると改めて思った。

 そんな中、当然、今週末に迫った有馬記念にも話題は及んだ。過去にグランプリ3勝を誇る藤沢調教師だが、中でも個人的に印象に残っているのは03年のそれ。シンボリクリスエスが連覇を果たし、自身の引退の花道を飾ったこのレースで、彼が2着につけた差は実に9馬身。後を考えないでいい引退レースということで、藤沢調教師が究極の仕上げをしたという声もささやかれたが、師はかぶりを振って答えた。

 「種牡馬になるのは大切な仕事。最後の一戦だからといって後先を考えないで仕上げるようなことはしません」

 また、3歳の春にはダービーを勝てなかった同馬を、その秋にはG1馬に。さらに最後は有馬記念連覇とどんどん強くしたことに対し、“どのように鍛えたか?”を問われると、これには次のように答えた。

 「何も特別な鍛え方はしていません。クリスエス自身は元から走る素質を持っていて、年齢を重ねて成長したことでそれが花開いたというだけです」

 謙遜もあるのだろうが、「馬を強くすることはできない。人間ができるのは壊すことだけ。いかに壊さないで素質を引き出してあげられるかが大事」ということは一貫して語っている。

 そんな伯楽があと3年と少しで定年になるのは残念というか、日本競馬界の損失につながると思う。限られた敷地で内厩制を通す以上、定年があるのは仕方ないが、一定の成績を残したら定年が先送りされるなどの延命措置があってもいいと思う。

 今週末の有馬記念には師が壊すことなく見事に素質を開かせたレイデオロが出走する。シンボリクリスエスのような強さを見せてくれるだろうか。期待したい。

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2018年12月21日のニュース