【有馬記念】「ショックだった」平地転向…相棒だから奇跡を信じている

[ 2018年12月21日 05:30 ]

オジュウチョウサン 半端ない挑戦(5)

石神深一
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 「正直、冗談かと思いましたよ。それが本当なんだと知って、ショックというか、なかなか受け入れられなかった」。石神は当時の気持ちを素直に明かした。コンビを組んで障害重賞9連勝。騎手人生最高のパートナーに巡り合い、それこそ24時間、オジュウチョウサンのことばかり考えていた時に乗り代わり、それも平地挑戦を言い渡された。

 「障害では無敵だと思っていましたからね。でも、いつまでも自分がそういう気持ちでいると周りにも迷惑がかかる。切り替えて、自分のできることをしようと思った」。和田正師は引き続き、調教を任せてくれるという。全力を尽くそうと決めた。武豊を背に平地で連勝。心から喜ぶ自分がいた。「元々、強いとは思っていたけど、人気ぶりを見ても本当の意味で凄い馬になりつつありますよね」。今は少しだけ距離を置いてオジュウのことを話すことができる。

 出合いは衝撃だった。すでに障害で2勝を挙げて石神にスイッチしたが、全く動いてくれなかった。「全力で走っているのかな?って。どうすれば集中してくれるのか。普段の調教から考えてやってきた」。馬と心を通わせ、調教にメリハリをつけた。その末に積み上げた障害重賞9連勝。だが石神はこんな言い方をする。「改めて“11連勝”というのは凄い。普通はジョッキーも馬もどこかで負けるものですよ」。連勝記録に平地も含めて表現した。自分が乗っているかどうかは二の次でいいのだ。

 今も調教パートナーを務める石神はこう締めくくった。「有馬記念出走は自分にとっても夢。それが実現しそう。スタミナ勝負になったら他の馬に負けないと思いますよ。5Fからの追い切りで息が乱れないし、いつも感心しているんですから」。ミラクルが起きる可能性はあると石神はみている。

 (特別取材班)

 ◆石神 深一(いしがみ・しんいち)1982年(昭57)6月3日生まれ、茨城県出身の36歳。01年成宮明光厩舎からデビュー。同年3月31日の中山3R(ライデンノハナ)で初勝利。07年から障害競走にも騎乗。13年新潟ジャンプS(アサティスボーイ)で重賞初制覇。16年中山グランドジャンプをオジュウチョウサンで制しJ・G1初勝利。以降、同馬とのコンビでJ・G1計5勝。16年JRA賞(最多勝利障害騎手)、17年JRA賞(最優秀障害騎手)、16、17年と優秀障害騎手賞1位、障害騎手特別賞を受賞。1メートル59、46キロ。血液型B。

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2018年12月21日のニュース