【ジャパンC】スワロー95点 夏超え大人に、一変して穏やか

[ 2018年11月20日 05:30 ]

中長距離仕様のゆったりとした馬体のミッキースワロー
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 サラブレッドが走る芸術品だとすれば…。ミッキースワローの顔つきは今、静かなブームになっている仏像の表情になぞらえることができます。鎌倉時代の仏師、運慶と快慶が1203年に再建した奈良・東大寺の金剛力士立像(阿形像)の表情は大阪杯時の顔つきと重なって見えました。この国宝指定の仁王像は前方をにらみつけるように目をむき、口と鼻の穴を開けた憤怒の風貌。当時のミッキースワローも写真撮影中に耳を絞って周囲を威嚇する、怒気をはらんだ顔立ちでした。反り返した尾、鋭い目つき、とがらせた鼻…。担当スタッフがリップチェーン(制御力の強い鎖状の馬具)で押さえ込もうとしても口を割って力み返っていました。

 ところが、今回は別馬のような穏やかな顔に一変しています。耳をしっかり立て、目つきも温和。尾は少し高いが、大阪杯のように反り返っていない。リップチェーンからハミに替えられ、口も閉じています。四肢の力みも取れて、バランスよく着地している。

 この穏やかな姿は悟りを開くために修行を重ねる菩薩(ぼさつ)像とオーバーラップします。金剛力士立像も作った快慶の作品でいえば、1189年に造立した弥勒(みろく)菩薩立像(米国・ボストン美術館所蔵)。ふっくらした温和な顔立ちの菩薩です。さすがに修行を終えて悟りの境地に達した如来とまではいきませんが、今春からの心境の変化を伝える立ち姿。ひと夏の修行で大人になったのかもしれません。

 馬体もこの菩薩立像のようにみずみずしい筋肉美の造形です。トモの筋肉は力をみなぎらせて立っていた大阪杯時ほどの躍動感がありませんが、その代わりに柔軟さが目立つ。中長距離仕様のゆったりとしたつくりで、どこにも窮屈さがない。

 サラブレッドが走る芸術品だとすれば…。金剛力士立像から弥勒菩薩立像へ変身したミッキースワロー。つばめ返しの反転攻勢が可能な立ち姿です。

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