【エ女王杯】モレイラ＆リス悲願達成！初コンビでＧ１初Ｖ

＜エリザベス女王杯＞ゴール前でクロコスミア（奥）を差しきり、悲願のＧ１勝利となったリスグラシュー（撮影・平嶋　理子）
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　牝馬の頂上決戦「第４３回エリザベス女王杯」が１１日、京都競馬場で行われ、３番人気のリスグラシューがゴール寸前、クロコスミアを差し切り悲願のＧ１初制覇。勝利に導いたジョアン・モレイラ（３５）にとってもＪＲＡ・Ｇ１初制覇となった。モレイラはこの日、５勝の固め打ちで９ＲではＪＲＡ通算１００勝も達成した。

　Ｇ１舞台で４度の銀メダルに泣いたのが、うそのようだ。これがマジックマン。モレイラのムチに導かれ、リスグラシューは矢のように伸びた。

　４角では９番手の外。ハミを何度も掛け直し馬に合図を送ると、鋭い左ムチを４発放った。瞬時に伸びるリスグラシュー。逃げ切りをもくろむクロコスミアに迫ると、一瞬でムチを持ち替えて右から３発。残り５０メートル。戦いは決した。

　人馬共にＪＲＡ・Ｇ１初制覇。鞍上はムチを握りしめた右手で何度もガッツポーズを決めた。この日、５勝。雷神が淀でとどろいた。「間違いなくＧ１を勝てる馬だと思っていた。まだ（勝ってない）。ただ、それだけのことだった」。前半５Ｆ６１秒４のスローペース。だが、苦もなく折り合わせた。「リラックスさせるのがポイント。壁をつくってリズム良く運べた」。直線の手前で外にスペースを見つけると迷わず誘導。ここがポイントだった。「外に出してからもエネルギーは残っていた。反応も良く、ラスト３００メートルで勝てると思った」。９ＲでＪＲＡ通算１００勝を決めたが、これは史上最少騎乗数（２９４）での達成。勝率・３４０。１０回乗って１つ勝てば御の字の世界でモレイラは型破りの成績をキープし続ける。

　「日本でＧ１を勝つのは小さい頃の夢だった。ドリームズ・カム・トゥルー。ガッツポーズしたのは許してください（笑い）」。ブラジル出身の名手は南アフリカ、シンガポール、香港と異国の地でキャリアを積み、腕を磨いた。新天地として選んだ日本のＪＲＡ騎手免許試験は残念ながら不合格になったが、騎乗技術はやはり世界有数のものだ。

　幼い頃に他界したという父（ジョアキンさん）にも感謝を伝えた。「父を思い出すとインスピレーション、モチベーションをもらえる。ここ数日、家族のことを考える機会もあって思い出していた。今日も、どこかで見てくれていたんじゃないかな」。これまでモーリス、ヴィブロスなど日本馬を海外Ｇ１制覇に導いてきた。国内では６度目の挑戦で初Ｖ。「これで楽しい時間を過ごせるが、ここで終わりじゃない。次のＧ１にチャレンジするためにも勝てるように準備したい」。モレイラの挑戦に終わりはない。

　◆リスグラシュー　父ハーツクライ　母リリサイド（母の父アメリカンポスト）　牝４歳　栗東・矢作芳人厩舎所属　馬主・キャロットファーム　生産者・北海道安平町ノーザンファーム　戦績１６戦４勝　総獲得賞金４億６１５万３０００円。

　◇ジョアン・モレイラ　１９８３年９月２６日生まれ、ブラジル出身の３５歳。００年に騎手免許取得。ブラジル、南アフリカなどを中心に騎乗し、０９年からシンガポールを拠点に同国のリーディングを４度獲得。１３年からは香港に拠点を移し活躍。日本には１４年安田記念で初来日。１５年には札幌で国際騎手招待ＷＡＳＪに優勝した。短期免許による騎乗は今回が３度目。ＪＲＡ通算２９７戦１０１勝（１１日現在）。今年は１６７戦６３勝で勝率・３７７、連対率・５２１のハイアベレージを誇る。