【天皇賞・秋】レイデオロ一変!目の覚めるような末脚で先着

[ 2018年10月25日 05:30 ]

<天皇賞・秋>ルメールを背に併せで追い切るレイデオロ(手前)(撮影・村上 大輔)
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 昨年のダービー馬が目覚めた。「第158回天皇賞・秋」(28日、東京)の追い切りが24日、美浦、栗東トレセンで行われ、レイデオロが目の覚めるような末脚を披露。秋初戦で白星を挙げたオールカマーを大幅に上回る気配で盾獲りに前進。17日に1週前追いを取りやめた不安も一掃した。主戦のクリストフ・ルメール(39)も自身2度目の3週連続G1制覇へ、吉兆の“Vサイン”を決めて上機嫌。天皇賞の枠順は、25日に確定する。

 名馬は名優のごとく大舞台に合わせて自ら体調を整えるという。「いい体だ」。岡部幸雄氏や小島太元調教師ら天皇賞史に名を刻んだ往年の大ジョッキーが見つめる先には、厚手のダウンジャケットを着込んだような鹿毛の筋肉。レイデオロの名が黄色文字で記されたG1ゼッケンよりもまぶしい赤茶色の光沢を放ちながら、雄大なストライドを伸ばしていく。Wコースで5馬身先行した僚馬ドラゴンストーム(障害未勝利)にインから造作もなく並びかけた。ルメールが手綱を抑えたまま半馬身前に出た。

 「凄すぎる」。僚馬の上で顔を紅潮させる杉原。その脇でルメールが満足そうに白い歯を浮かべた。「オールカマーの時はズブくてレイジー(怠け者)。トップコンディションではなかった。今度は一変している。全てが凄くいい。柔らかく走ったし明らかにパワーアップした」。そして、こう続けた。「馬場入りの前後はとても静かなのに馬場の中では覇気を出すんだ」。賢さを示す調教中の静と動。藤沢和師も「いつになくやる気になってるな」と笑顔で出迎えた。「ピリッとしなかった前走時とは気持ちの入り方が違う」。休み明けを一叩きした効果は歴然としていた。

 今春の2戦(京都記念、ドバイシーマクラシック)はいずれも道中引っ掛かって3、4着。ところが、オールカマーでは別馬のように折り合った。魔法に掛かったような変貌ぶりをルメールは馬の賢さに求める。「ドバイでは他馬の後ろに入れて折り合うことを教えた。その経験を前走で生かしてくれた。学習能力が高い」

 その前走後は天皇賞・秋と昨年2着だったジャパンCの二者択一で盾挑戦を選択。体調と舞台設定を重視した。「スタミナがある。最後の200メートルは凄く切れるけどスタートがゆっくりでエンジンが掛かるのに時間がかかる。だから直線の長い東京の2000はぴったり」とルメール。藤沢和師も「スピードとスタミナの両方が問われるコース。一番向いている」と口をそろえる。レースの疲労がたまりやすい一戦燃焼型。先を決めず盾獲り一点に照準を合わせてきた。

 「強くしようと思って鍛えちゃうと、かえって競走寿命が短くなる。鉄のげたを履いた姿三四郎みたいな稽古はいらない。レイデオロも攻めてないのに見かけからして全然違うだろ?」。藤沢和流の奥義。名馬は名優のごとく大舞台に合わせて自ら体調を整える。

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