【高松宮記念】ドキドキの緊張感が安田師を強くする

[ 2013年3月22日 06:00 ]

安田師が送り出す1番人気確実なロードカナロア

 【G1ドキュメント=21日】木曜朝はどこかのんびりしている。上岡が安田厩舎を訪れると大仲(スタッフ控室)のストーブを挟み、安田師と川田が座っていた。早速、安田師にロードカナロア、ダッシャーゴーゴーの気配を聞いた。「ここまで来たら、どう変わったも、こう変わったもない。順調です」

 室内の空気が重い。テレビの天気予報は高松宮記念当日が雨であると伝えていた。カナロアには道悪の経験がない。この点はどうか。「やや重は走っている(11年京洛S1着)。昨年も良発表ながらボコボコして馬場は悪かった。カナロアに関しては自信を持たなきゃ駄目」

 雨程度で揺らぐ自信ではないということだ。弟子の川田はダッシャーゴーゴーの鞍上。師匠とのやりとりの中で「(カナロアを)負かしにいきます」と言い切った。もちろん、チャンスはある。安田師は「今回からチークピーシーズを着ける。その上で、どこまで頑張ってくれるか」。そして「複雑だよね…」と胸中を明かした。昨年のこのレースは4頭使って1、3、4、8着。昨秋のスプリンターズSはワンツー・フィニッシュを決めた。結果だけ見れば派手だが、敗れた馬のオーナーや、担当スタッフへの気遣いなど、表には見えないものがあるのだろうと容易に想像できた。

 とは言え、有力馬を複数送り出すワクワク感はたまらない。「騎手の時は馬に乗ればリラックスできたが、観戦というのは凄くドキドキする。あの緊張感は凄い」。競馬場に入り、装鞍所、パドック、馬場入り…。徐々に気持ちが高ぶっていくそうだ。「あの緊張感が最高」

 プレッシャーを高揚感へと替える精神力を、既に安田師は身に付けていた。頂点に向け、指揮官には一分の隙もないと感じ、上岡は厩舎を後にした。

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2013年3月22日のニュース