【天皇賞・秋】“あのとき”に近づいてきた

[ 2009年10月30日 06:00 ]

 【G1ドキュメント 29日】木曜追いはエイシンデピュティのみ。熱気あふれる動きを見届けてから、井上は例によってG1出走馬の厩舎を回り始めた。開門から3時間が経過した午前9時。坂路の3階調教師席へ。「今、ちょっとあれなんで10分待ってください」。ドリームジャーニーの池江寿師は双眼鏡を手に、管理馬を厳しい目で追っていた。指示を出し終えた40歳の指揮官は、明るい表情に戻った。「きょうは引き運動を60分。追い切った後も順調。最近はカイバ食いも安定してますからね」

 追い切り翌日の気配チェックの重要さは、栗東に来た35年前に先輩記者から何度も聞かされた。調教快走→コズミ(筋肉痛の俗称)の有力馬を何頭も見た。その点でも、ドリームジャーニーは満点クリアだ。「もう状態に関しては何も心配ありません。あとは左回りだけですね」
 左回りの東京は過去4戦未勝利。しかし、デビュー3戦目の東スポ杯2歳S3着、ダービーも5着だ。悪くない。あとの2戦は安田記念と昨秋の天皇賞の10着。だが、ともに大外(18番、17番枠)発進だった。今回は外めでも6枠12番。割り引く必要はない。
 坂路の帰り、井上はどうしても気になるエイシンデピュティの野元厩舎へ。
 「井上さんか」とトレーナーが笑顔で迎えてくれた。各馬房の水などを点検しながら厩舎端のデピュティのところへ。「前走後が順調なので、本当にうれしい。あのときに近づいてきましたよ」。“あのとき”とは昨年の宝塚記念制覇だ。

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2009年10月30日のニュース