市川猿之助容疑者 母の自殺ほう助で逮捕 父への殺人容疑あるか「後始末を自分が…」

[ 2023年6月28日 03:00 ]

12年、襲名披露お練りのときの四代目市川猿之助容疑者(右)と父・市川段四郎さん
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 母親の自殺を手助けしたとして、警視庁捜査1課は27日、自殺ほう助容疑で歌舞伎俳優の市川猿之助(本名喜熨斗=きのし=孝彦)容疑者(47)を逮捕した。容疑を認めている。猿之助容疑者は先月17日から18日にかけて自宅で両親と一家心中を図った疑いがあり、警視庁は逃亡や証拠隠滅の恐れを踏まえて逮捕が必要だと判断した。今後、父親の死に関与した疑いでも調べ、猿之助容疑者が殺人容疑で再逮捕される可能性も浮上している。

 世の中に衝撃が走った事件の発生から40日。事態が動いた。この日朝、猿之助容疑者は入院先の都内の病院を退院。そのまま警察に任意同行を求められ、車両で目黒署に到着した午前10時半ごろに逮捕された。

 逮捕容疑は5月17日午後~18日午前、東京都目黒区の自宅で睡眠導入剤を服用させ、母・喜熨斗延子さん(75)の自殺を手助けした疑い。

 延子さんからは2種類の睡眠導入剤が検出され、いずれも猿之助容疑者が処方されたものだった。調べに対し、猿之助容疑者は「両親が自殺する手助けをしたことに間違いありません。私も両親の後を追って自殺するつもりでした」と供述。容疑を認めている。

 猿之助容疑者の父親で歌舞伎俳優の市川段四郎(本名喜熨斗弘之)さん(76)と延子さんは5月18日、自宅の2階で倒れているのが見つかり、死亡した。猿之助容疑者は半地下の自室で意識がもうろうとした状態で見つかった。

 猿之助容疑者はこれまで任意の事情聴取に「週刊誌報道をきっかけとして家族会議が行われ、みんなでさよならすることにした」と説明。事件当日発売の週刊誌が猿之助容疑者に関する性加害やハラスメント疑惑を報じており、その記事内容は前日17日に猿之助側に伝えられていた。

 そもそもこの事件を巡っては、同じ向精神薬中毒が死因である両親の死亡時刻に大きな開きがあることが焦点の一つだった。延子さんは発見された当時すでに死後硬直が始まった状態。段四郎さんは、搬送後に死亡が確認された。警視庁はなぜ開きがあったのか、慎重に調べを進めてきた。

 今後は猿之助容疑者が段四郎さんの死にどう関与したかが捜査のポイントとなる。(1)段四郎さんがどのようにして薬を飲んだのか(2)どのように自殺の意思を示したのか――の2点だ。要介護状態で寝たきりの状態だった段四郎さんは、認知症も患っていたとされる。それだけに段四郎さんが自殺をする意思があることを猿之助容疑者がどう把握したのかなどを調べていく。

 この点について元東京地検検事でレイ法律事務所の西山晴基弁護士は「段四郎さんの自殺が本心ではなかったり、理解できていなかったにもかかわらず、猿之助容疑者が薬を飲むように仕向けたとなれば、殺人容疑での立件もあり得る」と指摘。捜査のベースが猿之助容疑者の供述となるため、警視庁は慎重に聴取を続ける。


 ≪「両親の頭にビニール袋をかぶせた」≫猿之助容疑者は「なるべく苦しまず楽に死ねる方法として、睡眠薬を飲んで眠った後、両親の頭にビニール袋をかぶせた」と供述している。また「(両親死亡後の)後始末を自分が行うことになった」とも話している。

 ビニール袋をかぶせたが、両親の死因は睡眠薬を服用したことによる中毒死で、窒息死ではなかった。それでも西山弁護士は「ビニール袋をかぶせているから、3人で自殺するという目的を達成するために確実に死なせようとした行為になり得る。そのため殺意は強いという方向に働いてくる」との見方を示した。段四郎さんの死亡への関与を巡って「薬物を飲ませた上で袋をかぶせることを計画的に考えていたとすれば、一連の行為として殺人と評価される可能性もある」と指摘した。

 現場からビニール袋は見つかっていない。警視庁は猿之助容疑者が自宅の外で捨てたとみて詳しく調べている。


 ≪事件を巡る動き≫
 ▼5月15日夜 猿之助容疑者が週刊誌「女性セブン」記者から直撃取材を受ける
 ▼17日 出演中の公演が休演日。女性セブンの記事内容を知る
 ▼18日 両親と猿之助容疑者が自宅で倒れているところをマネジャーが見つけ119番。猿之助容疑者は救急搬送され、母親はその場で、父親は搬送先の病院でそれぞれ死亡
 ▼19日 猿之助容疑者が退院
 ▼24日 警察施設での本格聴取が開始
 ▼6月27日 母親に対する自殺ほう助の疑いで逮捕


 ▽自殺ほう助罪 人の自殺を手助けし、容易にした場合に適用される。同意を得て殺害する承諾殺人罪や、依頼を受けて殺害する嘱託殺人罪、自殺を唆す自殺教唆罪と同じく刑法202条で規定している。法定刑は6月以上7年以下の懲役または禁錮。未遂も処罰される。過去には2人で自殺しようと練炭を燃やし、生き残った男性に適用された例などがある。


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