松本若菜 悩んだ末に映画出演決断 「表現することが私の仕事」

[ 2023年5月26日 09:00 ]

柔らかくほほ笑む松本若菜
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 【牧 元一の孤人焦点】ロングラン公開中の映画「みんな生きている~二つ目の誕生日~」(両沢和幸監督)に出演した俳優の松本若菜(39)が作品への思いを明かした。

 「これまでも白血病で骨髄移植を受ける人の物語はありました。そのことを私もある程度は想像できました。でも、ドナーの人の気持ちは考えたことがありませんでした。この作品は1人でも多くの人に骨髄移植のことを知ってもらうための大きな一歩になると思います」

 主演・樋口大悟(45)の企画・原案で「骨髄移植と命」をテーマにした映画。樋口が25歳の時に急性骨髄性白血病を患い、壮絶な闘病の後、骨髄移植によって寛解した実話に基づいている。

 松本が演じたのは、主人公・大介に造血細胞を提供することになる女性・美智子だ。

 「監督、樋口さんから気持ちのこもったお言葉をいただいたのですが、簡単にお答えすることができませんでした。生々しいリアルな話、命にかかわる話だったので、生半可な気持ちではできないと思いました。助かる命もあれば助からない命もあります。この作品に出ることによって偽善者だと思われたくないという思いがありました。でも、それは私が勝手に考えていることで、何より、表現することが私の仕事なので、断る理由がありませんでした」

 観客の涙を誘う場面が二つある。一つは、家族の反対を受けた美智子が「私はやりたい」と言い、その思いを語るところだ。自身の命の危険性もゼロではない。しかし、今、その人を助けられるのは自分しかいない。自分の娘が同じ病気を患った場合、誰かが助けてくれるだろうか…。

 「美智子は地方で普通に生活している人です。いろんなことに柔軟に対応していくタイプですが、芯の強さがあって、曲げられないところは曲げません。ドナー登録は過去の自分がやったことだとしても、それを貫こうとします。その強さみたいなところを撮ってくださったと思います。時間をかけて丁寧に撮っていただき、ぜいたくな撮影でした」

 もう一つは、移植が終わり、麻酔から覚めた美智子がベッドの上で相手の状況を耳にして「良かった」と涙する場面だ。

 「美智子を聖人君子にしたくなかったんです。監督も『特別な女性にしたくない』とおっしゃっていました。あの涙には、無事に移植できて良かったということだけではなく、自分が生きていて良かったということを込めました。美智子もやはり怖かったんです」

 最近はドラマ「やんごとなき一族」「復讐の未亡人」「探偵ロマンス」などで個性的なキャラクターを演じてきた。それらと比べて美智子は一般的な女性ではあるが、美しさや凜としたたたずまい、自身の魅力の発露という点では、絶妙な役柄と感じられる。

 「普通を演じる方が難しいと思います。個性的であればあるほど役を作りやすいし、感情も出しやすいからです。普通の人、等身大の役は演じがいがあります。もし、この作品で、私の良さが出ているとしたら、とてもうれしいです」

 出演を悩んだ末の決断は正しかった。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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