結城貢さん 直腸がんで死去、81歳 頑固親父キャラで人気の料理研究家

[ 2022年6月21日 05:00 ]

フジテレビ「夕食ばんざい」に出演していた結城貢さん、と元フジテレビアナウンサーの佐藤里佳さん
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 「料理は愛情!」のキャッチフレーズで知られ、フジテレビ「夕食ばんざい」など数々の番組に出演した料理研究家の結城貢(ゆうき・すすむ)さんが4月24日午後4時7分、直腸がんのため東京都江東区の病院で死去した。81歳。旧満州(現中国東北部)出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻由紀子(ゆきこ)さん。ダミ声毒舌の頑固親父キャラながら端々ににじむ優しさでお茶の間の人気者として活躍。最後まで夫婦で営む都内の割烹(かっぽう)店を大切にした。

 スポニチ本紙の取材に応じた妻の由紀子さんによると、結城さんは昨年8月まで割烹店「原宿 結城」で腕を振るっていたが、直腸がんが見つかり翌月に手術。その後、肝臓にも転移が見られ、ステージ4と診断された。入退院を繰り返し「声は元気だが寝たきりの状態だった」という。最期は由紀子さんがみとった。「年とともに、穏やかで優しくなっていきましたね」と振り返った。

 1989年に泉じゅんの芸名で女優をしていた由紀子さんと結婚し、近所では“おしどり夫婦”として有名だった。店では結城さんが料理を作り、由紀子さんが給仕。結城さんが「お前はできないなぁ」と変わらぬ毒舌で小言を言っても、由紀子さんは「はいはい」と笑顔で受け流すやりとりが晩年まで繰り広げられた。近くの中華料理店に勤める前田敬子さん(69)は「会話にお互いへの愛を感じました」。結城さんの料理は「一品一品に手間を惜しまず、丁寧でとてもおいしかった」という。

 結城さんは旧満州生まれで、終戦から2年後に引き揚げた。幼いころの暮らしは楽ではなく、食べるものに困る日々。そんな中、母親から見よう見まねで「おふくろの味」を学び料理を習得し、料理人の道を志した。84年のフジテレビ「オールナイトフジ」に出演し女子大生に「なんだい!その手つきは!」など厳しい指導を展開。一方で、苦労人ならではの思いやりと人情あふれる人柄で人気を集め「美味しんぼ倶楽部」「夕食ばんざい」などレギュラー料理番組を数多く抱えた。

 私生活では、3度の結婚歴を持つモテ男。3度目の結婚の前、結婚前提の交際をしていた女優あき竹城(75)と88年に異例のツーショット会見を行って話題となった。

 そんな“モテ男”が、最後まで連れ添ったのが由紀子さん。結城さんが他界した今も店を切り盛りし、闘病中だった今年からモーニングを始めた。「1日の始まりは朝食。何でもいいので食べてください」と長年結城さんが提唱してきた思いを受け継いだ。

 店内の一角には小さな仏壇が設けられ、にこやかにほほ笑む結城さんと、生前弟のように可愛がっていた歌手の西城秀樹さん(享年63)の写真集が一緒に飾られている。「最期まで頑張ってましたし、穏やかな顔でした」。由紀子さんは優しかった夫をしのびながら厨房(ちゅうぼう)に立っている。

 ◇結城 貢(ゆうき・すすむ) 1940年(昭15)8月6日生まれ、旧満州出身。47年、香川県善通寺市に引き揚げる。日大経済学部卒。証券会社に3年勤めた後、料理人への夢を諦めきれずに退社して転身。元巨人のスタルヒン投手の妻が経営するロシア料理店での見習いを経て、東京・原宿で割烹料理店を開いた。「笑っていいとも!」など多数のテレビ番組に出演した。

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