菊之助「カムカムの次は音羽屋で」3年ぶり「團菊祭」初日、親子3代が勢ぞろい

[ 2022年5月3日 05:00 ]

3年ぶりの開催となった「團菊祭五月大歌舞伎」の第2部「土蜘」で「土蜘の精」を演じる尾上菊之助(中央)
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 歌舞伎俳優の尾上菊之助(44)が2日、東京・歌舞伎座で「團菊祭五月大歌舞伎」(27日まで)の初日を迎えた。團菊祭は九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の功績を称え、1936年に始まった特別興行。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となる。公演に先だって行われた本紙の取材に、菊之助は「ずっと待ち望んでいた。先祖に感謝しながら盛大に5月をもり立てたい」と意気込んだ。

 音羽屋ゆかりの演目「土蜘(つちぐも)」で、第2部に登場。父・尾上菊五郎(79)、長男・尾上丑之助(8)とともに親子3代が勢ぞろいする華やかな舞台となった。演じるのは「土蜘の精」で源頼光役の菊五郎と対峙(たいじ)する役どころだ。

 4月8日に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」では、時代劇スターの“モモケン”こと桃山剣之介役で注目を集めた。「朝ドラを見て歌舞伎に興味を持ってくれた方が少しでも歌舞伎座に足を運んでくれれば」と期待。母娘孫3代の100年を描いた物語だったことにちなんで「次は、音羽屋3代の100年を堪能してほしい」と笑みを浮かべた。

 「土蜘」には忘れられない光景がある。1987年の歌舞伎座で、当時六代目尾上丑之助として同演目に出演した。その時にも父・菊五郎、祖父・尾上梅幸さんと3世代で共演。「9歳でしたが祖父の神々しい背中や父の迫力のある芝居が忘れられません。毎日舞台に出るのが楽しくて、いつか父の役をやりたいと思っていました」と述懐する。

 それから35年の月日が流れ、今度は自分が3世代の真ん中に。「父と対峙しながらも息子のケアもしなければいけません。なかなかに大変です」と苦笑い。それでも「この家に伝わる芸を100年先まで続くよう後世に伝える。それが自分の使命でもあります」と気を引き締めた。

 やがては「尾上菊五郎」を襲名する立場。「カムカムでは、あんこが親子3代の絆でしたが、我々は“襲名”が未来をつなぎます。丑之助時代は親の七光だった。でも菊之助として、これから少しでも父の足元に近づけるよう精進しなくてはならない」。重みをかみしめながら、舞台上では軽やかに跳びはねる。(吉澤 塁)

 ≪第2部「暫」に登場した海老蔵アドリブ全開≫「十三代目市川團十郎白猿」襲名が延期となっている市川海老蔵(44)は、第2部で成田屋に伝わる歌舞伎十八番の一つ「暫(しばらく)」に登場。昨年の東京五輪開会式でも披露した演目とあり「しばらく~」の掛け声とともに花道から姿を現すと、場内から割れんばかりの拍手が湧いた。「久方ぶりの歌舞伎座」「オリンピックの開会式より1年ぶりのこのこしらえ」などアドリブも交え、観客を沸かせた。

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