逆輸入俳優 木幡竜 元プロボクサー命懸けアクションで映画初主演「タイトル通り、生きててよかった」

[ 2022年5月2日 05:10 ]

映画「生きててよかった」木幡竜(C)2022ハピネットファントム・スタジオ
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 中国でアクションを武器に活躍する日本人俳優・木幡竜(45)が日本映画では初主演となる「生きててよかった」(監督鈴木太一)が13日から上映される。年齢と体の限界を超えても、戦うことでしか生きる価値を見いだせない元ボクサーの物語。格闘シーンなど命懸けの撮影の連続で「タイトル通り、生きててよかったと思ってます」と笑った。

 元プロボクサーの経験がアクション大国・中国で花開いた。2009年に中国映画「南京!南京!」の日本人将校役をオーディションで勝ち取り、その演技が高く評価されると、「レッドクリフ」の製作総指揮だったハン・サンピンから中国での活動を勧められた。単身中国に渡ると、翌10年には映画「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」に出演。ラストシーンでは、世界的スターのドニー・イェンと死闘を繰り広げている。

 剣術や中国武術などを会得し、中国人役で時代劇に登場するなど活躍の幅を広げると、14年公開の「半島行動」で初主演。これまでの出演映画は40本以上に及び、興行収入の合計は15・91億元(日本円で315億)。中国でトップスターへの道を突き進んでいる。

 「中国語を覚えるのは大変でした」と苦笑いだが「アクションは若い子より覚えがいい。おっさんにしては関節も柔らかいし、運動神経が良いのかな」と自身の肉体への自信をのぞかせた。

 今作の撮影ではハイキックやチョークスリーパーで2度失神。冒頭のノックアウトシーンでは、元東洋太平洋スーパーフライ級チャンピオンの松本亮(28)から、本気の顎フック2発をくらった。

 「飛んだ目の演技をするために、僕の提案で殴ってもらった。元ボクサーだからこそのお願いでしたが、脳はしっかり揺れましたね。1発で決めて欲しかったけど“もう1回”ということで2発。いい画(え)が撮れるなら、と喜んでやりました」

 貪欲に演技を追求する考えは、中国で学んだものだ。「ダメな時は“テイク”なんて短い単位ではなく、良いものが撮れるまで何日単位でやってきました。この映画は中国で生きてきた全部が詰まっています」と語る。撮影のために10キロ減量し、体脂肪率3%まで絞った肉体美も、その証だ。

 中国では経験したことがないという過激なベットシーンにも挑戦した。「ふんどし付けてお尻を出したことはあるけど、何も付けないのは初めて」というが「中国だと規制があるので、もし公開されるならどうなるのかな」と不安げだ。

 リング上でしか生きられない男を通じ、幸せの形を問いかける作品。木幡は「“あいつ終わった”とか他人に言われる生き方でも、本人の捉え方は違ったりする。そんなモヤモヤを抱えたおっさんたちに、笑いながら見てもらいたい」と力を込めた。

 ◇木幡 竜(こはた・りゅう)1976年(昭51)9月12日生まれ、神奈川県出身の45歳。中2からボクシングを始め、横浜高3年時にインターハイ、国体で3位。23歳で大橋ジム所属のプロボクサーになり、25歳で俳優に。中国に渡る前は竹野内豊主演のTBS「真夏のメリークリスマス」でスタンドインとして出演するなどしていた。昨年は綾野剛主演のフジテレビ「アバランチ」で“最狂の敵”役で注目を集めた。1メートル75、血液型AB。

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