【前回の鎌倉殿の13人】第16話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「義仲 義の別れ 巴御前 永遠の絆」

[ 2022年5月1日 08:00 ]

イラストレーターの石井道子氏が描いたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第16話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「義仲 義の別れ 巴御前 永遠の絆」
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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は1日、第17話が放送される。新進気鋭のイラストレーター・石井道子氏が描く“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)とともに前回の第16話(4月24日)を振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 ヒットメーカーの三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第16話は「伝説の幕開け」。御家人たちをまとめ上げた源頼朝(大泉洋)は、弟・源範頼(迫田孝也)を総大将、梶原景時(中村獅童)を軍奉行とした本軍を派兵。八重(新垣結衣)に見送られた北条義時(小栗)も従軍し、先発した源義経(菅田将暉)と合流する。後白河法皇(西田敏行)を捕らえて京に籠もる木曽義仲(青木崇高)、福原を拠点に復権をうかがう平宗盛(小泉孝太郎)に対し、鎌倉方は義経の天才的な軍略に導かれて奮戦。畠山重忠(中川大志)らが華々しく駆ける…という展開。

 「宇治川の戦い」(1184年、寿永3年)に敗れ、京の院御所に戻った義仲は、後白河法皇が奥に隠れているのを知ってか知らずか、大声を張り上げる。

 「法皇様。本日をもって源義仲、この京の地を離れ、北陸へ戻りまする。力及ばず、平家追討を果たせずにこの地を去るのは、断腸の思い。いっそ法皇様を道連れに北陸へ、そう考えもしましたが、その策に義はござらん。義仲の果たせなかったこと、必ずや頼朝が引き継いでくれると信じておりまする。法皇様の御悲願成就、平家が滅び、三種の神器が無事戻られることを、心よりお祈り奉る次第。最後に一目、法皇様にお目通りしとうござったが、それも叶わぬは、この義仲の不徳の致すところ。もう二度と、お会いすることはございますまい。これにて御免」

 義仲は京から近江に向かうが、範頼の軍勢が待ち構える。幼なじみ・巴御前(秋元才加)に別れを告げた。

 義仲「巴、おまえはここで落ち延びよ。これ(文)を、鎌倉の義高(市川染五郎)に届けるのだ。わざと捕らえられて、鎌倉へ行け。女は殺されることはない」

 巴御前「嫌でございます」

 義仲「しかし、手向かいはするな。さすがのおまえでも、手向かいすれば殺される」

 巴御前「地の果てまで殿のお側に」

 義仲「さらばじゃ」

 そして、近江付近の街道。義仲と側近・今井兼平(町田悠宇)の前に鎌倉軍が立ちふさがる。

 義仲「ここまでか」

 兼平「それがしが盾となります。あちらに、松原がございました」

 義仲「そうか。自害するにはもってこいの場所だな。源義仲、やるだけのことはやった。何一つ悔いはない。一つだけ、心残りがあるとするならば…」

 その時、一本の矢が義仲の額を射抜いた。

 鎌倉軍は京に入り、義経は後白河法皇に拝謁し、気に入られた。

 「一ノ谷の戦い」(1184年、寿永3年)。三草山で平家軍に夜討ちをかけた義経勢は、福原に向かって山中を進む。先は断崖絶壁だが、1カ所だけ比較的なだらかな場所「鵯越」なら「馬に乗って駆け下りることも可能でしょう」と景時。義経は「なだらかなところを駆け下りても、出し抜くことにはならぬ」と鉢伏山の一際そびえ立った崖から一ノ谷へ下りると宣言し「私ならできる!」――。

 景時は「いい加減になされよ!貴殿にできたとしても、兵たちにできなければ、意味のないこと。下りれば、多くの兵たちが無駄死にしよう。大将なら、そこまで考えていただきたいもの」と反対。義経は「誰が馬に乗ってと言った。まず馬を行かせる。馬は後戻りできないから、前に進むしかない。勝手に下りてくれたところで、次は人だ。(攻めかかる時に下馬は無様)戦に見栄えなど関わりない!そんなことのために、大事な兵を無駄死にさせてたまるか。もういい。おまえたちは付いてくるな。私の兵だけで行く」。義時に頼まれ、重忠は「馬を背負ってでも下りてみせまする。末代までの語り草になりそうです」と義経に付き従った。景時は「何ゆえ、何ゆえ、あの男にだけ思いつくことができるのか…」と嫉妬のような感情も垣間見えた。

 2月7日早朝。義経は70騎の武者とともに、鉢伏山の断崖の上にいる。鹿の糞を見つけ「鹿が下りられるということは、馬も下りられるということだ。この糞に命運を懸けた」。一ノ谷、平家本陣。平宗盛(小泉孝太郎)は安徳天皇(相澤智咲)に「心配はございませぬぞ。ここ一ノ谷に敵は参りませぬ」と語り掛けたが、馬蹄の音が聞こえる。崖を下りてきた義経や重忠が現れた。縦横無尽な義経の戦いぶりに、景時は「(戦神の)八幡大菩薩の化身じゃ」――。

 生き延びた巴御前を待つ運命やいかに。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。ブランド情報発信拠点「メルセデス・ベンツ コネクション」におけるJ―WAVEによる展示パネルPOP制作、ウェブマガジン表紙などを手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。ライブペインティングや即興似顔絵も各地で行う。

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