谷川九段が還暦初戦を勝利 王将戦1次予選で安用寺七段に「前進流」発揮 4年ぶり年間勝ち越し目指す

[ 2022年4月11日 18:07 ]

王将戦1次予選で安用寺孝功七段に勝利した谷川浩司九段
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 王将4期獲得の谷川浩司九段(60)が11日、大阪市の関西将棋会館での第72期ALSOK杯王将戦1次予選で、安用寺孝功七段(47)に69手で勝利した。先手谷川がひねり飛車の陣形から11手目、早くも▲6五桂と跳ね出した。13手目▲7三桂不成と急襲すると、交換した角をさらに銀と差し違えて一気に寄せ切った。

 谷川将棋の代名詞「前進流」であり「光速流」の真骨頂。「年度初めにいい形でスタートが切れた。20勝くらいしたいし、勝ち越すのが目標です」。28勝19敗だった18年度以来の20勝と勝ち越しを目指す。

 谷川は6日に60歳の誕生日を迎え、この日が還暦になっての初戦。「大先輩に比べると若く見られるかも知れないけれど、威厳はありません」。そう苦笑いするが、AIの進化を背景に技術革新が著しい現代将棋において、ベテランが生き残る厳しさ、裏返せば「その中で、若手と戦えるやりがいもあります」とその原動力を明かす。前日も斎藤慎太郎八段(28)、村山慈明七段(37)、都成竜馬七段(32)との研究会を実施。とりわけ斎藤は現在、渡辺明名人(37)との名人戦7番勝負の最中だけに参加に感謝した。

 羽生善治九段(51)が先月末、最高位のA級からB級1組への降級が決まっていた名人戦順位戦で今期も指すことを表明した。十九世名人の資格保持者である羽生に対し、谷川は十七世名人の資格保持者。「棋士の数も増えてトップを維持するのは昔より大変ですが、順位戦で指されるのは自然。若手棋士も(羽生と)指すことを楽しみにしている」と決断を歓迎した。同一カードとして歴代2位、62勝106敗の対羽生戦も棋士人生の励みの一つ。自身のB級2組からの昇級がかなえば来期、黄金対決が実現する可能性もあり、「厳しい時代ではありますが、今期は上を目指せるように」と意気込みを語った。

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2022年4月11日のニュース