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西村京太郎氏、デビュー60年で680冊超の著作残し…70歳で10歳下女性と結婚、湯河原で穏やかに

[ 2022年3月6日 18:40 ]

死去した西村京太郎さん
Photo By 共同

 トラベルミステリーの第一人者として長く活躍した作家の西村京太郎(にしむら きょうたろう、本名・矢島喜八郎=やじま・きはちろう)氏が3日午後5時5分、肝臓がんのため神奈川県湯河原町の病院で死去した。91歳。東京府荏原郡荏原町(現東京都品川区)出身。「十津川警部」の生みの親として知られ、作品の多くがテレビドラマ化された。出版された著作は700冊近い国民的作家だった。

 80歳を過ぎても精力的に執筆活動を続けた西村さんが作家人生に静かに幕をおろした。1996年1月に脳血栓で倒れ、左半身にマヒが残ったものの懸命なリハビリの効果で執筆を継続。車いす生活ながら元気に暮らしていた。関係者によれば、昨年末から体調を崩して入院していた。

 東京府立電気工業学校(東京都立鮫洲工業高等学校の前身)を卒業後、人事院に就職。11年勤務した後に退職し、トラック運転手や保険外交員、私立探偵などを経て作家生活に入った。西村京太郎というペンネームは、人事院時代の友人の名字と、「東京出身の長男」という意味を合わせたものだ。

 61年に「黒の記憶」でデビュー。65年には「天使の傷痕」で江戸川乱歩賞を受賞した。社会派推理小説やスパイ小説など幅広い作風で知られたが、78年に発表した「寝台特急殺人事件」が大ヒット。ここから本格的にトラベルミステリーを書き始め、1つのジャンルを形成した。

 練りに練ったトリックやアリバイ工作がファンの熱い支持を集め、「十津川警部と亀井刑事」の名コンビ、「左文字進」といった人気キャラクターを生み出した。作品の多くがテレビドラマとなり、特に「十津川警部」モノはテレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京と局の垣根を越えて制作され、テレ朝とTBSの作品は息の長い人気シリーズとなっている。

 ちなみに十津川警部役は79年のテレビ朝日「ブルートレイン寝台特急殺人事件」で三橋達也さんが演じたのが最初で、これまでに17人の俳優が演じてきた。とりわけ三橋さんの後を継いだ高橋英樹(77)と、TBS版の渡瀬恒彦さん、その後を継いだ内藤剛志(66)が有名だ。

 パソコン、ワープロは使わずすべて手書きで、月に平均で400字詰め原稿用紙400枚ほどを執筆。年6度の取材旅行で12社分の小説を書くスタイルを長年続け、オリジナル著作は2021年までに680冊を超え、累計発行部数は2億部以上。80年代後半から90年代半ばまで所得番付の作家部門で赤川次郎氏に次ぐ2位を続け、98年から納税額が公表された最後の04年までは7年連続1位。最高年収は7億円と計算された。

 作家の山村美紗さんとは家族ぐるみの付き合い。山村さんがファンレターを送ったことで交流が始まり、78年に京都市東山区で共同で旅館を買い取り、両宅が鍵つきの渡り廊下で繋がっていた。96年9月5日に山村さんが心不全のため65歳で急逝すると、未完だった「在原業平殺人事件」と「龍野武者行列殺人事件」の脱稿を西村さんが引き受けた。山村さんの長女で女優の山村紅葉(61)はマネジャー代わりで、「十津川警部シリーズ」など西村原作のドラマに多く出演している。
 
 96年に脳血栓で倒れたのを機に湯河原町へ転居。それまで独身だったが、70歳の時に秘書を務めていた10歳年下の女性と結婚し穏やかに暮らしていた。同地に「西村京太郎記念館」が建ち、生原稿などが展示されてファンの足を集めている。趣味は麻雀や将棋。名人戦や電王戦の観戦記を担当したこともあり、将棋棋士が登場する推理小説「十津川警部 千曲川に犯人を追う」も発表している。

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