19歳5冠の藤井聡太竜王、全8冠制覇はいつ? 来年4月開幕名人戦で実現の可能性

[ 2022年2月12日 18:50 ]

<王将戦第4局第2日>対局を終えて頭を下げる渡辺王将(左)と藤井竜王(撮影・西尾 大助、会津 智海)
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 将棋の第71期ALSOK杯王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社ほか主催)第4局は11・12の両日、東京都立川市の「SORANO HOTEL」で指され、挑戦者の藤井聡太竜王(19=王位、叡王、棋聖の4冠)が渡辺明王将(37=名人、棋王の3冠)に114手で勝利し、シリーズ4連勝で最年少王将&5冠が誕生した。

 5冠になった藤井は新年度の4月以降、防衛戦モードに入る。例年6月から番勝負が始まる棋聖戦、王位戦、昨年の7月開幕から4月へ移る叡王戦のトリプル防戦戦だ。

 昨年8月、王位を防衛した藤井は当時2冠。その後叡王、竜王、王将に挑戦し、いずれも獲得した。挑戦者争いを勝ち上がったメリットで勝てば奪取、負けても失う物のない立場から一転、失冠の危険を負う立場となる。

 裏返せばここを切り抜ければ、秋以降、さらにタイトルを増やすチャンスと言える。その最初の舞台、王座戦は例年9月以降、5番勝負が待つ。5冠の藤井は予選免除で挑戦者決定トーナメントからの出場が決まっており、その初戦は例年4月にスタートする。

 来年2月から5番勝負が始まる棋王戦も予選免除。そして名人戦は挑戦権を10人総当たりで争うA級順位戦への昇級が迫っている。

 13人で2枠を争うB級1組の最終局が3月9日にある。9勝2敗でトップの藤井は勝てば文句なし、負けても、3敗で順位上位の2人のいずれかが敗れると昇級が決まる。A級は例年6月開幕。保持する5冠を防衛しながらの難事業だが、全8冠制覇は来年4月開幕の名人戦で実現の可能性がある。

 5冠を達成したのは過去に3人。大山康晴十五世名人は王将、名人、十段、王位だった1962年、創設されたばかりの棋聖戦(後期)を制し、全5冠を独占した。大山VS升田の王将戦は4度実現し、2勝2敗だった。

 中原誠十六世名人は77年後期の棋聖戦で大山からフルセットの末に奪取し、2人目の5冠になった。米長邦雄永世棋聖との王将戦では第34期第3局、米長の3時間37分の大長考を跳ね返して制するなど、7番勝負3戦3勝と圧倒した。

 羽生善治九段は93年王位戦で達成した。王将戦では95、96年の7番勝負が社会現象化。初の全7冠制覇に挑む羽生、阪神大震災被災地の期待を背負った谷川。95年は谷川が千日手指し直しを挟む4勝3敗、96年は羽生がストレートで奪取した。

 1年前は「4強」が全8冠を分け合った覇権争い。このまま藤井1強へと集約されるのか。渡辺、豊島、永瀬の反撃となるか。目が離せない。

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2022年2月12日のニュース