「鎌倉殿の13人」初回から三谷脚本の真骨頂 笑い→シリアスの振れ幅「1本のドラマにまとめる醍醐味」
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初回(今月9日)からツイッターの世界トレンド1位と大反響を呼んだNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)。希代の喜劇作家・三谷幸喜氏(60)は笑いはもちろん、平安末期の血なまぐささも盛り込んだ。コミカルから一転、シリアスへ。三谷脚本の真骨頂が早くも発揮された。
<※以下、ネタバレ有>
俳優の小栗旬が主演を務める大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。
第1話は「大いなる小競り合い」。1175年、平清盛(松平健)が大権力者として君臨していた日本。伊豆の地においては、北条義時(小栗)が兄・宗時(片岡愛之助)、姉・政子(小池栄子)ら、のんびり暮らしていた。しかし、流罪人・源頼朝(大泉洋)が義時の幼なじみ・八重(新垣結衣)と恋仲になり、男児を産んだことから状況は一変。清盛から頼朝の監視を任されていた八重の父・伊東祐親(浅野和之)は激怒。頼朝が姿をくらます中、北条家にも捜索命令が下り…という展開。
実は宗時が「平家をぶっつぶす」と北条館の離れ屋に頼朝をかくまっていた。
北条政子役の小池が初回からコメディエンヌぶり全開。源頼朝との初対面シーンは、さながら小池&大泉のコントだった。
頼朝に食事を運んだ政子は一目惚れ。頼朝が「名は何と申す」と聞くと、政子は「大根汁でございます」。次に食事を運んだ際は、頼朝の気を引こうと、政子は体をクネクネ。頼朝の「これは何ですか?」が続き、視聴者の爆笑を誘った。
昨年12月17日のオンライン会見。大泉が「小栗旬が楽屋から飛び出してきて『オレの大河で何やってんだ!』って怒ったというね。延々と2人のコントになりましたね」、小池が「コントみたいなシーンだよね。『汚してくれるな』ってね」と冗談ぽく明かしたのが、このシーンだった。
初回放送後に番組公式ツイッターに公開された撮影直後の大泉の音声コメントも「(政子との初対面について)頼朝さんとしては『とてもユニークな女性に出会ったな』という印象なんでしょうかね。大泉洋としましては、大河に出たのか、(NHKのコント番組)『LIFE!』に出たのか、イマイチちょっと分からないなっていう。ひょっとして、これ『LIFE!』かな?っていう。どこかで内村(光良)さんとか、ムロ(ツヨシ)君とかが出てきそうな。頼朝と政子っていう歴史上のこの2人の出会いのシーンを『面白くする必要があるんでしょうか?』って、あらためて三谷さんに問いたいですけどね。今日の最後のシーンを撮っている間に、小栗君がやってきて『何やってるんですか?』って怒ってましたからね。なんで我々が主演に怒られないといけないんだっていう。私たちは台本の通り、やっているわけだから。本当にね、三谷さんにはこれ以上、頼朝を面白くするのはやめてほしいと思いますね。すみませんね、ちょっと愚痴が多くなってますけど。三谷さんに送ってほしいな、このコメントを」とジョーク交じりに、小池とのに手応えを示した。
そして、祐親が頼朝の居場所に勘付き、伊東家と北条家との争いに。祐親の下人・善児(梶原善)は「善児と一緒に川遊びをいたしましょう。善児が川で魚を獲ってあげまする。さぁ、参りましょう、参りましょう」と頼朝と八重の息子・千鶴丸(太田恵晴)を連れ出した。
義時は頼朝の手紙を八重に届けた伊東館からの帰り、河原にいる善児を目撃。北条館に戻ると「千鶴丸は殺されました」と報告した。宗時は「怖いお人なのだ。爺様(祐親)というお方は」。義時は「爺様は平家の敵となれば、身内でも容赦はしません。このままでは戦になります」と危機感をあらわに。頼朝は「千鶴丸は人懐っこい子でなぁ。誰にでもすぐに付いていった。仕方あるまい。それがあれの定めであったのだ」と悲報を淡々と受け入れた…かと思いきや、その後、「祐親を殺せ。わたしの命となれば、おぬしも気が楽であろう。祐親を殺すのだ。伊東祐親、決して許さん!」と工藤祐経(坪倉由幸)に命じた。
SNS上には「コミカルから急にシリアスになる振れ幅が良い。さすが三谷幸喜」「笑いとシリアスのバランス感覚はさすが。千鶴丸のエピソードを1話から入れてきたのは、物語に緊張が生まれて良かった」「コミカルとシリアスのジェットコースターで笑えばいいのか泣けばいいのか、情緒が…うぐぐぐ」などの声が上がった。
歴史の敗者を描いた「新選組!」「真田丸」をはじめ、演劇作品においても、喜劇作家と検閲官が攻防を繰り広げる「笑の大学」(1996年)、30年間にわたる夫婦の軌跡をたどる「グッドナイト・スリイプタイト」(08年)、ウソを題材に2組の夫婦をサスペンスフルに描いた悲喜劇「不信~彼女が嘘をつく理由」(17年)など、シリアスやビターな要素が含まれることも少なくない。
制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサーも「三谷さんの脚本の魅力は、何と言ってもコミカルなところ。その一方、これも実は三谷さんの作品の持ち味なんですが、非常に残酷な部分もあります。今回は歴史劇だからこそですが、非常に不条理だったり、理不尽だったり、人々が苦しめられたり。その振れ幅を演じるのが大変だというのは、役者さんたち、皆さんがおっしゃっていますね。それぞれのアプローチをされていると思いますが、その時その時に起こった感情を大事に演じてくださっています。これはスタッフ側としても、思わず笑っちゃうシーンとシリアスの場面を、どう1本のドラマにまとめ上げていくか。三谷作品ならではの難しさと同時に、醍醐味だと思っています」。第2話(16日)以降の展開も大いに注目される。
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