反田恭平さんが2位 ショパン国際ピアノ・コンクール 日本人51年ぶり快挙

[ 2021年10月22日 05:30 ]

第18回ショパン国際ピアノ・コンクールの本選で演奏する反田恭平さん。日本人として約50年ぶりとなる2位入賞を果たした=18日、ポーランド・ワルシャワ(C)Wojciech Grzedzinski/Darek Golik(NIFC)
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 クラシック音楽の三大コンクールの一つ「第18回ショパン国際ピアノ・コンクール」の最終結果が21日未明(日本時間同日午前)、ポーランドの首都ワルシャワで発表され、東京都出身の反田恭平さん(27)が2位、山口県出身の小林愛実さん(26)が4位に選ばれた。

 日本人の2位入賞は1970年の内田光子さん(現在は英国籍)以来、51年ぶりの快挙。優勝はカナダのブルース・リウさん(24)。反田さんは結果発表後、友人や家族らに感謝を示し「うれしい以外に言葉がない」と喜びを語った。「プレッシャーとストレスを感じていた。今は眠りたい」と続けた。

 周囲で「サムライ」と呼ばれている長髪を束ねたスタイルが特徴的な反田さん。パワフルで技巧的な演奏が持ち味で桐朋学園大に入学。19歳だった14年にロシアのチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席入学した。

 15年にCDデビューすると、16年のデビューリサイタルは2000席が満席となり、一躍スターに。TBS系「情熱大陸」やテレビ朝日「徹子の部屋」などに出演したほか、日本テレビ「ニュースZERO」など報道・情報番組にも取り上げられ「最もチケットが取りにくい日本人ピアニスト」と言われる。現在はポーランドで暮らし、ショパン国立音楽大に在学。オーケストラを立ち上げたり、新型コロナウイルス禍では、いち早く有料ライブ配信を行ったりするなど、意欲的な活動も話題を呼んできた。

 「海外のホールで響かせるには体格も必要」と脂肪と筋肉を増量するなど、数年かけてコンクールに備えてきた。観客席から見守った母・真紀子さんによると「幼稚園の年長の頃から憧れていた舞台」。夢をかなえた反田さんは「全てが実った瞬間」と感無量の表情を見せた。

 ◇反田 恭平(そりた・きょうへい)1994年(平6)9月1日生まれ、東京都出身の27歳。桐朋女子高音楽科(共学)3年の2012年に日本音楽コンクールで優勝。15年デビューアルバム「リスト」発売。

 《反田さん幼なじみ、小林愛実さん4位》4位の小林さんは3歳からピアノを始め、国内のジュニアコンクールを次々と制し「天才」と呼ばれた。現在は米国のカーティス音楽院で学ぶ。小柄な体ながら、大きく伸びやかな演奏で魅了。前回15年も本選に進んだが、入賞を逃していた。反田さんとは子供の時に同じピアノ教室に通っていた幼なじみ。ともに桐朋女子高校(男女共学)に進んだ同門だ。「仲のいい近所のお兄ちゃんと一緒にショパンコンクールに出て、お互いにファイナルステージに行けるなんて、こんな光栄なことはない」と感慨深そうに話した。

 ▽ショパン国際ピアノ・コンクール ベルギーの「エリザベート王妃国際音楽コンクール」、ロシアの「チャイコフスキー国際コンクール」と並ぶ世界三大コンクールで、1927年創始。若い演奏家の挑戦の場として最高峰で、ピアノとショパンの曲に特化して競われる。基本的には5年に1回の開催。18回コンクールは20年に開催予定だったが、新型コロナ感染拡大を受けて延期された。日本人の入賞者には中村紘子さん(1965年、4位)らがいる。

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