永瀬王座 羽生九段下し白星発進、古典的持久戦制す 王将戦挑戦者決定リーグ

[ 2021年10月2日 05:30 ]

感想戦で盤を凝視する永瀬王座(撮影・我満 晴朗)
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 将棋のALSOK杯第71期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグは1日、東京都渋谷区の将棋会館で行い、前期挑戦者の永瀬拓矢王座(29)が羽生善治九段(51)を120手で下し、白星スタートを切った。 永瀬VS羽生指し手

 自らの王を囲わずに丁々発止の打撃戦にもつれ込む流行とは一線を画す古典的な持久戦。駒組みの序盤戦が牛歩のように遅く、先に手を出すタイミングが難しい戦いを制したのは後手の永瀬だった。「(羽生の)9八香の組み立てに気づくのが遅れ、6六歩と突いたのですが…そこで均衡を崩していたのかもしれません」と内省するものの、実はこの時点で羽生は「その対応を誤った」と悔やんでいた。穴熊の構想を頓挫させ、一見薄く見える自王に構わず左辺からの攻めを敢行。78手目△3七角成以降、徐々にポイントを重ねて手厚く寄せきった。

 前期はリーグ初出場ながら5勝1敗の好成績。豊島将之竜王(31)とのプレーオフも制し7番勝負に初進出した。渡辺明王将(37)には2勝4敗で屈したが、開幕3連敗後2勝し、足跡は確かに残している。今期も渡辺との対決を心に期してのリーグ参戦。木村一基九段(48)との王座戦5番勝負と並行しながらの多忙な戦いだが、体力知力ともに頑丈さを誇る永瀬にとって大きな障壁ではない。「初戦でまずは…という感じ。引き続き頑張りたい」。たかが1勝、されど1勝。連続挑戦へ軽くステップを踏み出した。 

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2021年10月2日のニュース