乙武洋匡氏 パラ文化定着へ閉会後もアスリートに声援を

[ 2021年9月6日 05:30 ]

パラスポーツを取材する乙武洋匡氏(右から2人目)
Photo By 提供写真

 【乙武洋匡 東京パラ 七転八起(13)】13日間にわたるパラリンピックが終わった。自国開催ということもあり、これまで以上に多くの国民に支えられ、声援が送られた大会となった。だが、本当の勝負はこれからだ。パラスポーツが一時の盛り上がりだけに終わることなく、文化として定着していくためには解決すべき課題がいくつもある。

 まずは、練習場所の確保だ。かつてオリンピックは文部省、パラリンピックは厚労省と管轄が分かれていたため、パラアスリートは国の施設を使用できない状態にあった。スポーツ庁の創設によって両者は統合されたが、依然としてパラスポーツの練習場所を確保することには困難が伴っている。

 たとえば車いすラグビーや車いすバスケットボールは体育館で行う競技だが、いまだに「車いすの転倒で床が傷つく」「タイヤ痕が残ってしまう」といった理由で貸し出しを許可されないケースが多くある。視覚障がい者が行う競技では「何かあった時に責任が取れない」と使用が許可されないケースもあるという。

 費用も悩みの種だ。“板バネ”とも呼ばれる競技用義足の価格は、30万~70万円。生活に必要な義足は保険適用となるが、競技用義足は適用外。原則として自費となる。また、“ラグ車”と呼ばれる車いすラグビーの競技用車いすは1台150万円。激しくぶつかり合うために1年も持たない上、こちらも保険が適用されない。

 日本代表・池崎大輔はこう言って苦笑する。

 「我が家の一番の資産は車いすです」

 強化指定選手などに選ばれれば、遠征費なども含め協会が負担してくれるようになるが、もちろん協会にも潤沢な資金があるわけではない。パラ“バブル”がはじければ、一層厳しくなるだろう。

 ぜひ、パラ閉幕後も興味を抱いてほしい。試合会場に足を運ぶ。オンライン配信にアクセスする。そうした動きが、パラスポーツのさらなる普及につながり、練習場所や費用の課題解決にもつながっていく。彼らの活躍は、私たちで支えていくことができるのだ。=おわり=

 ◇乙武 洋匡(おとたけ・ひろただ)1976年(昭51)4月6日生まれ、東京都出身の45歳。「先天性四肢切断」の障がいで幼少時から電動車椅子で生活。早大在学中の98年に「五体不満足」を発表。卒業後はスポーツライターとして活躍した。

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