史上初東大卒真打ち・春風亭昇吉 安田講堂で昇進披露「胸がいっぱい」

[ 2021年8月19日 05:30 ]

母校・東大の安田講堂で真打ち昇進襲名披露公演を行った春風亭昇吉(左から2人目)と(左から)立川志らく、春風亭昇太、桂文枝
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 落語界史上初の東大卒真打ちとなった春風亭昇吉(41)が18日、母校のシンボル、安田講堂で真打ち昇進披露公演をオンラインで行った。1925年に完成した安田講堂で落語が披露されるのは初めてで「胸がいっぱい」と感激を口に。型破りな凱旋で真打ちの第一歩を踏み出した。

 昇吉は06年、学生落語の日本選手権にあたる「策伝大賞」で優勝。その実績などが評価され、07年の卒業式で「東京大学総長大賞」を受賞した。その時、当時の副学長に「真打ちになるときはぜひ安田講堂で襲名披露を」と声を掛けられ「その言葉を胸に、厳しい前座修業も乗り越えてきた」と感慨深げだ。

 安田講堂は卒業式や大きな講演会、学会が主な用途で、ほとんどの学生は普段立ち入ることはない。商業利用も禁止されている。14年の改修後から用途の幅が広がったといい、今回の公演は、落語を用いた学術連携の端緒として実現した。

 舞台上に設置された高座で口上の瞬間を迎えた昇吉は神妙な面持ち。脇を固めたのは、師匠で日本テレビ「笑点」司会の春風亭昇太(61)、同じ芸能事務所所属の立川志らく(58)、「策伝大賞」の審査員を務める桂文枝(78)。大物に囲まれ緊張の面持ちを見せつつも「末永いご愛顧賜りますよう…」と語る先輩の言葉に笑顔を見せた。高座では「やり慣れている」という演目「たがや」を大声で熱演した。

 津田敦副学長(62)は「伝統を大事にしつつ最先端に取り組む落語は、東大の目指すところに近い。今後も連携を深め、令和の名人が育つ過程をリアルタイムで応援したい」とエールを送った。

 昇吉は「本当に安田講堂で真打ち昇進披露ができて感謝の思いでいっぱいです。夢がかないました」と万感。現役の学生に「生涯年収に差がつきますので落語家を目指さないように」と冗談交じりに呼び掛けつつ「これを落語と母校の交流の端緒にしていきたい」と決意を込めた。

 ◇春風亭 昇吉(しゅんぷうてい・しょうきち)本名国枝明弘(くにえだ・あきひろ)。1979年(昭54)10月29日生まれ、岡山県出身の41歳。岡山大に入学後、東大文科2類に合格。07年に東大経済学部を卒業し、昇太一門に入門。11年に二つ目に昇進。上位2%のIQ(知能指数)を持つ人が参加する国際組織の日本支部「JAPAN MENSA」の元会員。

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