オモシロ素人続出のワケ 「オドぜひ」プロデューサー語る(1)

[ 2021年6月30日 12:00 ]

“名古屋のコンパ王”が出演して盛り上がるスタジオ(中京テレビ提供)
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 2012年に東海地方で始まり、19年にはほぼ全国放送となった深夜の人気番組がある。日本テレビ系「オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。」(日本テレビ=木曜深夜1・29、他は地域により異なる)だ。

 番組の企画意図やコンセプト、出演者、こだわりなどについて、番組を制作する中京テレビ(名古屋市)の富田恭彦プロデューサー(制作会社「CTV MID ENJIN」所属)が本紙の取材に応じた。その内容を全4回にわたり掲載する。

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 「オドぜひ」の愛称で親しまれる番組は、お笑いコンビ「オードリー」に会いたい視聴者がクチコミを送り、「ぜひらー」としてスタジオに登場、オードリーの2人と予測不能なトークを展開していく視聴者参加型バラエティー。ファンからは「番組の緩さが好き。ぜひらーのキャラが面白すぎる」「出演のハードルが低そうで自分も出演してみたい」「こんなにはしゃぐオードリーの姿は他の番組では見ないかも」などの好意的な声が相次ぐ。

 地方局発で全国の視聴者から愛される「オドぜひ」はどのように生まれたのか。富田氏は「中京テレビの強みとオードリーがあってこその企画だった」と振り返る。「中京テレビの強みは地方局ならではの、地域住民など一般の人たちをスタジオに呼んだりして、一緒に盛り上がっていく番組作り」だ。富田氏は「オドぜひ」の前身で、東海地方在住の10代後半から20代前半までの男性視聴者16名がレギュラー出演した番組も手がけていた。こちらも視聴者参加型で、司会を務めていたのがオードリーだった。1年で終了したが、富田氏はオードリーと番組参加する視聴者との絡みに面白さの可能性を感じていたという。そこから、再びオードリーを軸にした視聴者参加型バラエティー「オドぜひ」の企画に至った。

 「オドぜひ」のコンセプトを「クラスで目立たないような人に光を当て、ちょっとした花を咲かせる。放送後に『あそこのクラスの人、テレビ出てたらしいよ』のような話題作りが狙いだった」と語る。すごい一芸を持つ“面白い人”ではなく、どこにでもいそうな人に注目し、本人が気付いていない面白さをどう演出するかがポイントだという。

 思惑通り、「一見普通そうな印象」(富田氏)だが、スタジオで強烈な個性が爆発する「ぜひらー」が続出して話題となった。スーパー人間、名古屋のコンパ王、ニートでナメられ続ける男、生まれてからずっと彼女がいない男、暇つぶしの達人、クチコミを連投する若林ファンの女性、元ドラフト候補の未練を断ち切りたい男――呼称だけでも興味をそそられるような「名物ぜひらー」も多く誕生し、番組を彩ってきている。

 例えば、自称“スーパー人間”の男性は、爽やかな青年に見えるが、「精神力で人間の限界を克服し、自分にしかできない特技を身につけたので、ご覧あれ」とスタジオに登場する。オードリーに半信半疑の目を向けられる中、“能力”を証明すべく、腕に電気を流しながら牛乳をこぼさずに飲むなどの“人間を超越した技”に挑戦していく。その真剣な姿にオードリーは笑いが止まらない。“名古屋のコンパ王”と称される男性は、一見どこにでもいそうな会社員だが、6年間で600回以上のコンパ経験を引っさげて登場。男性のコンパトークにオードリーも前のめりになって惹き込まれていく。ちなみに、“コンパ王”の戦績は0勝600敗だった。

 「オドぜひ」ではそんな隠された面白さを持つ「ぜひらー」たちの魅力をオードリーの2人が最大限に引き出していく。(続く)

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