生島ヒロシ 故郷・気仙沼市で聖火ランナー 東北を後押しする「復興五輪」を祈る

[ 2021年6月20日 05:30 ]

生まれ育った気仙沼市で聖火ランナーを務める生島ヒロシ
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 東京五輪の聖火リレーは19日、東日本大震災による津波で大きな被害に遭った宮城県で初日が行われ、第1区間の気仙沼市では同市出身のフリーアナウンサー生島ヒロシ(70)がランナーを務めた。

 地元の声援の中、担当区間の200メートルを走り終えた生島は「中学の陸上部で一緒に800メートルリレーを走ったメンバーから“もうオーバーゾーンするなよ”と言われた。当時、僕がやっちゃったの忘れてないんだよ」とうれしそうに笑った。

 10年前の津波で、市内では妹喜代美さん(当時57)ら多くの人が亡くなった。この日も「起きたらホテルの窓から静かな海が見えた。この海があんなことになるんだと、当時を思い出したら泣けてきた」と悲しみは消えない。津波は町の風景を一変させた。ただ「地元の仲間たちが町を盛り上げているのは知っているし、新しい町に生まれ変わってくようだね」と復興の力強さも感じている。

 東京五輪が東北の復興を後押しする「復興五輪」となることを今も願っている。「感染拡大は不安ですけど、日本人の真面目さや緻密さを生かして何とかならないものか。ここまで来たら、選手はもちろん、頑張っている人たちのためにも五輪が成功すればいいなと思います」と祈るように話した。

 ≪サンドウィッチマン女川町を走る≫同県仙台市出身のお笑いコンビ「サンドウィッチマン」は女川町を走った。小雨の中、今年3月中旬に膀胱(ぼうこう)がんの手術を受けた伊達みきお(46)が先に登場。「震災から10年。世界からたくさんの協力をしてもらった。きれいになった女川を感じてもらえたら」と胸の内を語り、笑顔で完走。そのまま交代した相方の富澤たけし(47)は「女川に聖火が来たよー!」と呼び掛けながらコースを一歩一歩踏みしめた。

 ≪大川小跡で語り部活動・鈴木さん石巻で≫石巻市の市街地では、震災の津波で児童・教職員ら84人が犠牲になった大川小跡で語り部活動を続ける鈴木典行さん(56)が第1走者を務めた。自身も小学6年生だった次女真衣さんを亡くした。この日は真衣さんの当時の名札をポケットに入れ、一緒にジョギングする気分で走ったそうで「やったね。2人で走ったね!と抱き合いたいけど“やだ”と言われるかな」と苦笑い。購入したトーチを、亡くなった児童らに見せたいと大川小跡に直行した。「今後も日本全国どこかで災害は起きるかもしれない。物は壊れても、人の命が壊れることのないようにしなくては」と訴えた。

 

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