名人戦 渡辺名人が第5局制し4勝1敗で初防衛成功 1月から3連続防衛、6月から藤井棋聖に挑戦

[ 2021年5月29日 19:07 ]

斎藤八段を下し、防衛を果たした渡辺名人(左)(日本将棋連盟提供)
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 渡辺明名人(37)=王将、棋王の3冠=に斎藤慎太郎八段(28)が挑む第79期名人戦7番勝負の第5局は29日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で2日目が指し継がれ、午後6時37分、先手斎藤が94手で投了して渡辺が勝利した。対戦成績を4勝1敗とし、昨年初めて奪取した名人位の初防衛に成功した。

 渡辺が天ぷらうどん、斎藤がミックスサンドイッチを注文した30分間の夕食休憩明け。詰み筋を読み切った渡辺の王手に斎藤が潔く頭を下げた。

 「1局目、激戦の将棋で開幕して4局目とか大変な将棋が多かった。やり方としては変えてないが作戦的にうまくいったところはあったかもしれない」と渡辺は回想。4勝1敗での防衛については「昨年、(コロナ禍による対局延期などで)イレギュラーな日程だったのであっという間にきてしまった。でも防衛できて良かった」と総括した。

 都内で開幕した第1局は斎藤が先取したが第2局の福岡県飯塚市、第3局の名古屋市、第4局の長野県高山村と渡辺が連取し、初防衛へ王手をかけて迎えた第5局。戦型にはシリーズ初の雁木を選択した。1日目は攻め将棋の渡辺が受けに回る展開が目立ったが2日目、攻守交代する。渡辺玉を守護する金銀を削られる間に斎藤陣を攻略し、最後は即詰みに打ち取った。

 年明け以降王将戦、棋王戦、そして名人戦と3連続防衛戦に全勝した。永瀬拓矢王座(28)、糸谷哲郎八段(32)に斎藤と挑戦者はいずれも年下ばかり。初タイトルの竜王を20歳で奪取して17年、年下相手でも最新型に通じ、円熟期にある3冠に緩みはなかった。

 休む間もなく6月6日、第1局を迎える第92期棋聖戦5番勝負で藤井聡太棋聖(18)=王位との2冠=に挑む。昨年、高校生の藤井に初タイトルを献上した、そのダイレクトリターンマッチ。「1月から(タイトル戦を)3つやってきて、終わったら少し休みたいと思っていたので挑戦はうれしい誤算。休むなんて言ってないで、終わってから休みたい」。名人位の初防衛でタイトルの通算獲得期数を29とし、節目の30到達を棋聖戦で目指す。

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