富永一朗さんが開いてくれた“オトナ”への扉

[ 2021年5月22日 20:32 ]

漫画家・富永一朗さん
Photo By 共同

 「チンコロ姐ちゃん」などお色気を感じる作品で知られる漫画家の富永一朗さんが、今月5日に都内の自宅で亡くなったことが分かった。96歳の大往生だった。

 富永さんが知名度を上げたのは76年から94年まで放送されたテレビのバラエティー番組「お笑いマンガ道場」への出演。番組で同じ漫画家の鈴木義司さんとのののしり合いが“お約束”として人気になったが、当時の小学生には別の理由で富永さんの絵に興味津々だった。

 富永さんは、お題に対し、しばしば銭湯の場面で女性の裸体を“回答”として描いた。当時はテレビが一家に1台、お茶の間の王様だった時代。大人向けドラマでお色気シーンが映ると、子どもは親から「向こうに行ってなさい」と言われることが多かった。

 だが「お笑いマンガ道場」は、そのタイトル通り「マンガ」がテーマ。子どもも視聴者の対象だった。「お笑いマンガ道場」なら、富永さんが描いたエッチな絵を堂々と堪能できたのだ。その絵から「チンコロ姐ちゃん」は“もっとエッチな絵なんだろうか”などと妄想を膨らませた。

 富永さんは戦後、数年間大分県で小学校の教員を務めたという。その経験が、少年の“性へのときめき”をツボにして描く心得となった可能性もある。ベテランのテレビ制作関係者は「今の40、50代の中高年には、最初に“エッチ”に触れたのが富永さんの絵という人も多いはず。漫画家としてはもちろん、エロの伝道師として忘れられない人です」と話した。

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2021年5月22日のニュース