米アカデミー賞 アジア系女性が初の監督賞 クロエ・ジャオ氏「ノマドランド」が3冠

[ 2021年4月27日 05:30 ]

第93回アカデミー賞   授賞式 ( 2021年4月26日    ロサンゼルス )

第93回米アカデミー賞で作品賞を受賞した「ノマドランド」のチーム。クロエ・ジャオ監督(中央)、主演女優賞を受けたフランシス・マクドーマンド(左から2人目)ら(AP)
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 米映画界最大の祭典、第93回アカデミー賞の授賞式が25日(日本時間26日)、ロサンゼルスで行われた。「ノマドランド」が作品・監督・主演女優の3部門を制覇。同作のクロエ・ジャオ監督(39)は、アジア系女性として初の監督賞を受賞。助演女優賞も「ミナリ」のユン・ヨジョン(73)が韓国俳優として初の演技賞を獲得。アジア系への人種差別が問題視される米国で、アカデミー会員がメッセージを送った結果となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、例年より約2カ月遅れでの開催。主催の映画芸術科学アカデミーは密を避けるため、例年の会場ドルビー・シアターに加え、近くの鉄道駅ユニオンステーションにも会場を設置。出席者も通常3000人のところ約170人に絞った。レッドカーペットでは、ノミネートされた俳優らがマスク姿でインタビューを受ける姿も見られた。

 コロナ禍の米国で、アジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が大きな問題となる中で行われた授賞式。2016年には演技部門の候補者20人が全員白人だったことから「白すぎるオスカー」との批判が起きたが、今年は20人中9人が有色人種。助演女優賞のユンは、アジア系女優としても58年「サヨナラ」のナンシー梅木に次ぐ偉業で「私は競争は好きではない。ちょっと運が良かっただけ」とあいさつした。

 出席者からは人種差別問題に相次いで「NO」の声が上がった。クロエ・ジャオ監督は「みんなで一つになり、相手が誰であろうと憎悪はやめにしよう」と呼び掛け、「ジーン・ハーショルト人道賞」を受賞した俳優タイラー・ペリーは「黒人だから、白人だから、アジア人だからと憎悪するのは拒否する」と強調した。

 映画評論家の渡辺祥子さんは「会員の変化が感じられる受賞結果。今年はアフリカ系のことも特に意識しているように感じた」と話した。アカデミー賞に詳しい洋画配給関係者は「米映画産業の観客の中心はマイノリティーが多いローワーミドル。コロナ下で映画館を復活させるには、彼らに劇場に来てもらわないといけない。マイノリティーに“理解を示している”とメッセージを送った結果」と分析した。

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2021年4月27日のニュース